2016年12月1日木曜日

庁舎建設予定地の測量経費提案される・・市議会12月定例会始まる

注目点は3点

 本日12月1日から小金井市議会第4回定例会(12月議会)が開会した。今回の注目点は・・
1.市役所庁舎建設に向け、来年1〜3月に蛇の目ミシン跡地の測量を実施し、土壌汚染などを調査する地歴調査を2〜6月に行うための補正予算(319万円)
2.認可保育所(公立保育園5園)定員29人増加のための保育所修繕費・備品購入費等(305万円)
3.期日前投票所の増設関連経費(576万円)の3点。
 ・・・以上を含む補正予算は7億7574万円。定例会の会期は12月22日までと決定した。



12月4日は日曜議会

 12月4日には日曜議会が開催され、一人あたり15分の持ち時間で一般質問が行われ、残り45分間の一般質問は6日から8日にかけて行われる予定だ。

12月4日日曜議会一般質問(15分)

 質問通告は「支援や配慮が必要な人が安心して暮らせるまち」実現に向け、現在の検討状況について」
〜駅前整備など、まちづくり事業が進展する中で、支援や配慮が必要な方々に対する配慮の具体的検討は進んでいるのか〜・・・要するに小金井市内各駅の交通広場に障がい者や高齢者の乗降スペース設置は検討されているのかという質問だ。
 近隣各駅の状況調査の結果も踏まえて、今後の小金井市の対応などについて質問する予定だ。

12月6日一般質問(45分) 

1.小金井市の環境負荷軽減の取組みについて
・リサイクル推進協力店の対応状況
・「地域が命を守るまち小金井」実弁に向けた方策
・在宅医療増加に伴う影響について、医療系廃棄物回収の現状について。
・省エネルギー化の観点から、街灯LED化を一層進めないか

2.地域が命を守るまち小金井」の実現に向けた課題
・民間企業・商業施設等との災害応援協定の策定状況
・地域の防災力として、市内商店会と災害協定を締結し、地
 域防災の一翼を担っていただくことはできないか

以上の質問を予定している。




2016年11月22日火曜日

ヒトは何のために働くのか(11月22日 障がいある人の就労を考える会in立川シンポジウムより)

 以前から立川市で障がい者就労を考えるグループの勉強会に参加させていただくうちに年に1度開催する講演会やシンポジウムのお手伝いをさせていただくようになった。
 今年は「可能性を伸ばし生きる力を育む」〜青峰学園といなげやウイングに学ぶ〜とのタイトルで11月22日に開催された。
 青峰学園とスズキの関わりは、2014年7月に縁あって訪問させていただき、その時の感動を当ブログ 都立青峰学園 私たちは、パン屋さんを育てているのではなく、パンを作る「人」を育てています。 に書かせていただいて以来、気になっていた学校で、今回の講師である青峰学園主幹教諭の永峰秀人先生のお話は個人的にも楽しみだった。この時のお二人のお話とその後のディスカッションでのやり取りを振り返り、障がい者雇用について考えてみた。


1.特別支援学校におけるキャリア教育とは(青峰学園 永峰秀人先生のお話)

キャリアとは、人が生涯様々な枠割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分との関係を見出していく連なりや積み重ねのこと

 青峰学園では大きく分けて知的障害教育部門と肢体不自由教育部門が設置された併置校で、知的障害教育部門では(高等部・就業技術科)として、食品・福祉・エコロジーサービス(園芸とビルクリーニング)・ロジスティック(物流と事務)の4コース6領域が設置されている。



「ワークキャリア」とは働く力を身につけること」

 かっこいい社会人を目指して努力すること。そのために必要な体力・コミュニケーション・やる気(働く意欲)・キープ(働きつづける力)4点合わせて「た・こ・や・き」を身につけることを目標に指導し、1年生では4コース、6領域全てを10日間づつ体験し、実際の会社でのインターンシップでの体験から、生徒自身が就きたい仕事を「あこがれ」から、より現実的な選択に変化していく。

「ありのままの自分でいい」と感じてもらうこと

 人の役に立った、認められた、感謝されることで自己肯定感、自己有用感を生徒が実感すること。そして自分と他者との関係を肯定的に受け止められることが社会性の基礎につながる。

「ワーク」と「ライフ」を分けて考える

 永峰先生は参加者に「人は何のために働くのですか?」。「人は自分の生活を楽しむために働くのではないですか?」と問いかけます。働く力をつけるためには「ワーク」と「ライフ」を分けて考え、「楽しみ」はライフの領域で、生活を楽しむために働くことを学ぶ。

「ライフキャリア」とは生活の力

 生活の楽しみ方を身につけることで、働く目的が明確になり就労の継続につながることから、近年はワークキャリアからライフキャリアに重点をおいた指導に変化してきた。

小学校・中学校時代に身につけたいチカラとは?

 子どもの発達は積み重ねではなくジグソーパズルのピースのようなもの。穴が空いていても適切に支援すれば発達する。日常の生活場面からできることを増やしていくことが大切。




2.障がい者雇用の取組みと合理的配慮について(いなげやウイング 石川誠さんのお話) 

なぜ障がい者を雇用するのか。特例子会社いなげやウイング

 いなげやの企業理念である「4つの満足」すなわち会社・従業員・顧客満足に加え、社会的満足として社会的責任、コンプライアランス、税金、雇用の創造を会社の使命とする中で、社会的使命として障がい者当事者の生活を豊かにすることを目標に障がい者雇用と自立支援に取組んできた。いなげやでは障がい特性や個人の体力、能力により様々な働き方が可能になっている。就労後の退職率も公表しているが、特例子会社いなげやウイング設立前後で離職率は23.6%から17.1%に好転している。

やっぱり基本は「相互理解」

 採用前の個別面談で相互理解を高め、企業が求める社員像を伝えている。即戦力である必要はなく、働く意欲を継続できる力が雇用の継続につながる。

合理的配慮は法的な義務

 障がい者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの。当事者とのコミュニケーションや対人関係的配慮は欠かせない。

あいさつは仕事そのもの

 人の印象は3秒で決まる。あいさつは3秒でできるコミュニケーション。社会人としてあいさつは仕事そのもの。悪い例はその場で指摘してすぐ直すこと。こうしたことを小・中学校時代に身につけておく。

3.第2部パネルディスカッション

特別支援学校におけるキャリア教育とは?学齢期のうちに育みたい力とは?

 第2部では講師の永峰先生、石川氏に立川市手をつなぐ親の会副会長の野々(のの)さんを加えたディスカッション。3人のお話のコーディネートは不肖スズキが担当した。 
(石川) 「相互理解」による本人への配慮がワークライフバランス向上につながり成長するが、過度の配慮は逆効果。
(野々)特別支援学校におけるキャリア教育?
(永峰)本人の「伸びしろ」を見てくれる会社が増えてきた。「キャリア教育」は特別支援学校で40年前からやっている。周りがやっと追いついてきた。重度の障がい者にも、その場での生活を豊かにする意味でキャリア教育と呼んでいる。個人の成長のスモールステップを大切にしている。愛の手帳2度でも一つの工程でもできれば就労は可能なことを保護者に伝えたい。当事者にとっては自分のできることを説明できることがとても大事。
(鈴木)最後に、就労を迎えるにあたり学齢期に備えておきたい、育んでおきたい力とは?
(永峰)感謝をもって生きること。感謝の気持ちの表現力。
(石川)困った時に相談できる力。 


4.特別支援学校のキャリア教育はすべてのお手本(講演会まとめ)

 働くことの意味を「自らの生活を楽しみ豊かにすること」と捉えて生徒一人ひとりに向き合い、チャレンジの場を提供し適性を見定めて進路を決めていく青峰学園の指導方法は学校教育すべてが目指すべきものではないのか。
 企業の理念として、法定雇用率(民間2.0% 国・地方公共団体2.3%)を上回る 4.0%雇用を目標とするいなげやウイングの雇用努力は企業全体がすべての社員のワークライフを見直すことにつながっている。
 学校でも企業でも、障がいある人への配慮が行き届くということは、すべての生徒や社員にとっても優しいということだろう。障がい児・者に対する合理的配慮の提供はすべての人にとって大きなメリットがあることを改めて考えることになった講演会だった。





2016年10月22日土曜日

防災を考えるイベントふたつ。いざという時には近所付き合いが家族のいのちを救うというお話




 本日10月22日の午前中は地元の菅直人衆議院議員とご一緒させていただき、「マルシェこがねい」に参加した。消費生活展として今年で50回目という長い歴史のある催しだ。今年のテーマが「つなげよう!防災力」だったので興味深く見せていただいたのだが、災害に備えての備蓄を日々の生活の中に取り入れる展示など充実した内容だった。

 会場では他にも「手しごとむすび市」として、その名の通り市内の作家さんのてづくり作品の販売あり、コーヒー屋台「出茶屋」さんなど飲食の提供あり、お隣の上之原公園では「炊き出し音楽会」と称し、あのマスター木村と腹話術のいずみさんのパフォーマンスがあり、市が備蓄しているアルファ化米の試食と音楽パフォーマンスの組み合わせがとても新鮮だった。時間の関係でこちらには参加できなかったが、防災の取り組みにもこうした発想が必要と感じた企画だった。


 午後からは市の自立生活支援課が主催する「災害時!人づきあいが命を救う」とのタイトルの講演会。講師は東日本大震災の被災地支援に関わった東京社会福祉士会の山本健明さん。
 ここ1年間での災害の多さの振り返りのお話に始まり、東京の災害リスクの高さ、災害時に支援や配慮が必要な災害時要配慮者が阪神淡路、中越、東日本、熊本の被災地でどのような状況だったのかについて、災害発生時の時代背景も含めて分かりやすくお話しいただいた。


 課題は色々で、改善されたものはありつつも最後は「自助」の精神で、隣近所の助け合いを確立することが自分や家族の命を救うことにつながるのだと教えられる内容だった。
 特に災害時に支援や配慮が必要な方の支援の充実には日頃から障がいの理解と啓発が欠かせないとのお話は、まさに同感で、小金井市でもこの部分が大きな課題と考えている。
 2時間では足らない充実した内容の講演会だったが、事前の告知が若干手薄だったかと思える部分もあり、ここが残念に感じたところだ。しかしこうした内容の講演会を積み重ねていくことこそが重要で、今後も積極的にこのような企画を展開し、市民の皆さんとともに災害時に必要になる地域での福祉的支援充実の議論を盛り上げていければと感じた講演会だった。

2016年9月2日金曜日

一般質問は9月6日(火)10時から

 小金井市議会は8月29日(月)から平成28年第3回市議会定例会が開会されています。定例会の日割表を以下に貼り付けておきますのでご参照ください。



 今回の一般質問は、19名もの障がい者が殺害された津久井山ゆり園の事件の背景にある障がい者差別。差別解消のためには、差別の根源にある障がいに対する無知をなくし、地域での理解を深めることが重要と考えています。また、大災害時に支援や配慮が必要な市民の避難行動支援事業。この事業の重要性は理解されても、支援が必要な対象者の個別支援プラン作成数は頭打ちの現状があります。こうした問題には活発な市民ボランティアの参加が欠かせませんが、地域にある支援が必要な方のニーズと市民ボランティアのコーディネートをこれまでとは違う形で行う必要があるのではと考えています。そこで、小金井市がこれまで進めてきた障がい福祉施策や避難行動要支援者支援事業の取組みの現状と課題、成果と今後の展開についての質問を予定しています。
 質問は9月6日(火)10時からの予定です。
 

2016年8月26日金曜日

「ノーマライゼーションは障がいのあるなしに関わらず人を幸せにする」 「UDトーク」青木秀仁さんのお話


その名は「UDトーク」

会話をリアルタイムに文字化する

 ずいぶん前の話である。小金井市の障害福祉全般の課題を議論する「地域自立支援協議会」の今年度初めての会議が5月17日に開催された。今年は委員が交代し、協議会の運営支援委託事業者も新たな事業者に交代した。この事業者の提案により、今年度から聴覚障がいの委員さんとのコミュニケーション補助のため会話を文字に変換するアプリケーションソフト「UDトーク」を導入した。
 会議では、各委員の手元に置かれたタブレット端末(IPAD)に接続されたマイクへの発言が前面のスクリーンに文字化して投影され、聴覚障がいの委員さんはスクリーンを見て会話内容を理解する。ただし聴覚障害の委員さんの発言は手話なので、これは手話通訳者が音訳する必要があるのだが、手話通訳者の発言もUDトーク経由でスクリーンに文字化されるため、発言内容の確認ができるわけだ。しかも文字化された発言はすべて記録されるため議事録として活用できるのだという。
 小金井市の障がい福祉について議論する地域自立支援協議会でこのような新しいツールが使われているのを目の当たりにしてうれしくなり、会議のアシスタントとして参加していた開発者のシャムロックレコード株式会社 代表取締役の青木秀仁さんと名刺交換させていただき、先日やっとお話を伺うことができた。

きっかけは中途失聴者との出会い

 青木さんはもともとプログラマーとして音声認識を専門とする会社で働いていた経験があり、ある中途失聴者との出会いがこのアプリ開発の動機になったのだそうだ。青木さんによれば聴覚障がい者のうち、手話を理解できるのは全体のわずか15%なのだという。似たような話は視覚障がいの方に聞いたことがあったが、これは驚きである。
 青木さんが大切にしているのは個人ユース。そのために音声認識技術を青木さんなりにコーディネートして個人に使いやすくしたもので、音声認識エンジンをライセンス使用している。あくまでも個人対個人の使用を基本に考えた聴覚障がい者と私たちの壁を取り払うツールだ。
 アプリをインストールしたスマートフォンに声を吹き込めばすべての発言が文字に変換されるため、例えば、それが会議ならば議事録作成の手間が大幅に削減できるメリットもあり、様々な場面での可能性の大きさを感じるアプリだ。しかも個人が使う分には基本的に無料でダウンロード可能(機能拡張は有料)なところが素晴らしい。
 このアプリは聴覚障がい者に対して、話して伝える側のツールなので、聴覚障がい者からのコミュニケーションは、手話か筆談が必要になる。ただしこのアプリはタッチスクリーンへの手書き入力もできるので、タブレットやスマートフォンでの筆談は可能である。 


認識した音声の翻訳メニュー
マイクへ入れた音声はこのように文字化される

すべての人を幸せにするノーマライゼーション

 導入事例を紹介した記事を見せていただいたが、私立高校でUDトークを導入した聴覚障がい当事者の生徒がいるクラスは、言葉を伝える側の教員が、アプリが認識しやすいようにはっきりとわかりやすく授業を行った結果、そのクラスの学力が伸びたのだという。アプリが認識しやすいということは、他の生徒にとっても理解しやすいわけだ。こうした例とは別に、黒板の文字を認識することが苦手なタイプの学習障がいの子どもたちなどに対する可能性も大きいと思う。また日本語以外に英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、タイ語、ロシア語など22の国と地域語への翻訳が可能。さらに文字化したものはログ(記録)としてメール送信も可能(!!)本当に凄いアプリである。こうした導入事例を参考に、我が小金井市でも窓口への導入を検討してもいいのではないだろうか。 青木さんにとってのノーマライゼーションとは、「障がいのあるなしに関わらず全ての人を幸せにするもの」で、こうした様々な取り組みや考えは学校に限らず今後の社会全体に必要な理念としてあてはめることができるはず、という強い思いが感じられた。
この写真は「はい、チーズ!」とアイフォンに音声認識させてシャッターを切ったもの。向かって左が青木さん。このアプリ「声シャッター」の開発も青木さん。鈴木の右はUDトークの開発に興味を持ち一緒に同行したY氏



 

 
 
  

2016年8月25日木曜日

行ってきました「夏休み木工チャレンジ」

 宮地楽器ホールのマルチパーパススペースで開催されている「夏休み木工チャレンジ」。前から味のあるポスターデザインが気になっていた。
 

 上の写真の木工キットを事前に市内の協力店で購入してもらい、子どもたち(小学6年生まで)の自由な発想で工作をしてもらおうというもの。夏休みの自由研究としてもなかなか魅力的に思えた。
 
 本日から始まった展示会では、たくさんの子どもたちの作品の中から好きな作品1点を選んで人気投票もできる。作品はみな創造的な力作ぞろいなので、どれか1点を選ぶとなるとなかなか悩ましい。
 展示会は本日25日から27日(土)まで。28日の13時から表彰式が行われる予定。2年目の今年からは表彰式が行われる28日の10時から当日申し込みOKの体験工房も開催されるとのこと。
 このイベントは市内の様々な業種の協力を募り実行委員会形式で企画・運営され、多くの子ども達に工作の楽しさを体験してもらおうというもの。ポスターデザインから手作りですが、仕事はプロのお仕事。協力業者も商業だけでなく、建設関係などものづくりに関わる市内業者さんも結集して協力していた。
 こういった手作りイベントが少しづつ広がることで、今まではあまり出会う機会のなかった業種や市民との交流が盛んになることを期待したい。
 この展示会で賞をもらった子どもが学校で紹介されたりする例も出てきたそうで、子どもたちの心にも夏休みの想い出としてしっかりと刻まれるのではないだろうか。
 

2016年8月17日水曜日

条例の検証は議会改革を進める原動力(議会運営委員会視察報告)


 議会運営委員会では8月1日に埼玉県所沢市、2日に岩手県久慈市の行政視察を行った。議会基本条例施行後の議会がどのように条例の検証を行っているのかが視察テーマだ。

埼玉県所沢市

議会のマスコットキャラクターは「みみまる」クン

 所沢市議会では、専門的知見を得るための学識経験者等に対する調査委託の活用、すべての議案提出資料の統一フォーマット化、質疑の一問一答(一括質疑と選択可能)採用、議案質疑の質問回数(3回)と質問時間制限(1時間)などの改革に取組み、改革の検証方法として、議会基本条例の条項ごとの実施状況と今後の方向性など、議会自身の検証評価を報告書として市議会HPで公表してきた。

 検証には予算・決算で使用している事業評価シートの考えを取り入れたものとなっている。その他にも閉会中の文書質問(全会一致しないとできない原則)議員間討議、参考人招致、公聴会と意見提案手続き、政策検討会等の付属機関の設置など、議会基本条例施行後もこうした改革を次々行ってきた。改革の歩み全てが冊子として1冊にまとめられ議会事務局改革のバイブルとして日々活用されていた。

改革の検証は事業評価表でチェック

 改革の検証は事業評価表で自己評価し、常に取り組み状況をチェックし「議会評価報告書」で報告している。また議会報告会には参加しない市民意見聴取のためワールドカフェスタイルの市民懇親会を開催し、サイレントマジョリティー市民意見を集約する取組みを行っている。
 議会基本条例を制定後、条例を運用する中で自己評価を行い、議会事務局報告会を重ねる中で課題を共有し問題点の改善を行ってきたことは重要なポイントだ。

市議会が自己評価を行い効率的な議事運営のために本会議での質問時間制限を設けている点など、議会が常に市民を意識して改革を進める手法について、小金井市議会が学ぶべき点が非常に多いと感じた。


岩手県久慈市

埼玉県所沢から東北新幹線八戸駅でJR八戸線のディーゼルカーに乗換えて1時間50分で久慈市へ。風光明媚な三陸海岸は「やませ」の霧に包まれていた。




「あまちゃん」でも使われた駅前風景だが、商店のシャッターが目についてしまう。「あまちゃんフィーバー」後の復興のゆくえが気がかりだ。がんばれ三陸。


「北限の海女」で知られるように水産業の街でもある久慈港。東日本大震災後に防潮堤のかさ上げ工事が行われていた。


条例前文が方言の「じぇじぇじぇ基本条例」

 平成23年8月の市議会改選後の議長選挙で所信表明を行い当選した議長の諮問による議会改革検討委員会(各会派代表者で組織)で検討し、同24年12月に議会基本条例の必要性を答申した。その後議長を除く全議員による議会改革推進特別委員会を組織し、答申内容に沿い分科会形式で議論。方言による前文で構成された「じぇじぇじぇ基本条例」素案をまとめ、全体議論とパブリックコメントと経て平成26年3月に条例を制定した。条例制定後に発足した議会改革推進会議のもとで議会改革と検証が行われている。

議長・委員長志願者による所信表明を規定している

 議長や委員長の選出過程を明らかにするため本会議で志願者による所信表明を行う事を規定していることが驚きと、久慈市議会の大きな特徴と感じる。
 議会改革取組みの議長諮問に「議会改革に継続的に取組む議会」との項目があり、改革のための改革に陥ることがないよう、議会の取組みの先には市民福祉の向上という目的があることを議会改革のスタートとしている。
 議会活動の検証のためにPDCAサイクルを回し、議会基本条例運用基準に「議会活動チェックシート様式」を定め、専門的知見を得るためにPDCAシート監修元の早稲田大学マニュフェスト研究所から検証の助言を得ている点は重要だ。PDCAサイクルは単年度で、長期的・短期的課題にかかわらず毎年シートへの落とし込みを行い、シートの所管は議会運営委員会内の改革検証委員会で行っている。


議会報告会の限界は「かだって会議」で乗り越える

 市民のための改革という点では、「久慈市に生まれた子どもたちが、久慈市の良さを知らないまま大人になり、進学や就職で外へ出て帰ってこない」とのお話に、地方特有の若年層の流出への危機感が背景にあると感じた。
 そして岐阜県可児市をならった所沢市議会同様に、議会報告会以外の市民意見の反映の場として「かだって会議」(方言の『語って』からきている)開催を準備していた。議会報告会には毎回決まった人しか来ず、大多数の市民意見の反映ができていないという反省にたって企画されていることは、これから議会報告会を開催する小金井市議会でも参考にすべき取組みではないだろうか。







2016年8月10日水曜日

総務企画委員会行政視察報告


東京〜盛岡間をわずか2時間20分で結ぶ国内最速の時速320キロを誇る「はやぶさ」の登場が今後地方に与える影響が注目される。

  所属する総務企画委員会では7月26日に盛岡市、27日に喜多方市の行政視察を実施した。

岩手県盛岡市「ほほえみと太陽のプロジェクト」

消費者トラブルと多重債務の救済が目的

 市民の多重債務、消費者トラブルの救済を「ほほえみと太陽のプロジェクト」として「多重債務に強いまち盛岡」を目指した取り組みについて視察した。
 人口296,500人の盛岡市では消費者行政の一環として「消費生活センター」を設置し、消費生活相談、法律相談、多重債務問題に取組み、平成元年からは消費者救済資金貸付事業、平成24年からは福島第一原発事故を受け、食品放射能物質検査を始めている。人員体制は十四人で、副主幹1人、主査2人以外、所長を含めた全員が非常勤嘱託職員で、他に計量行政活性化事業を行っている。

税の徴収率向上は部・課の連携と包括的支援で


 税の滞納を減らすため、徴税部門の強化だけでなく、 消費生活相談事業を拡大し、市民を多重債務から救済するため「消費者救済資金貸付制度」を運用していることが大きな特徴だが、多重債務の発生予防のための啓発を小学生から大学を含めた市民に出前講座の形で行い、実際の救済にあたっては弁護士会や警察だけでなく税の滞納の背景にある生活困窮からの救済のため、地域福祉、障害福祉、児童福祉や保健、精神保健福祉、職業安定所、社会福祉協議会など様々な部・課との包括的連携で支援を実現していた。


目的は多重債務者の生活再建

 超税率向上というと通常は直接的に市民部だけが滞納者対応を行うことになるが、盛岡市の場合は市民の生活全般に目を向けて多重債務の背景に迫り、多重債務者の生活再建を目的に行政の連携で包括的に支援し、生活困窮から救済する目的が明確にされた取組みと感じた。


福島県喜多方市 市役所新庁舎建設

庁舎は市民懇話会設置から5年で完成

会津地方のシンボル磐梯山と水田。
 人口は48,800人で平成18年に熱塩加納村、塩川町、山都町、高郷村と合併し新喜多方市となっている。
 昭和33年建設の旧庁舎は、その後の合併による執務スペース不足により、それまでの車庫を執務スペースに転用しき教育委員会を外部に設置するなど市民にとって利用しにくい状況から、平成22年に「新庁舎建設市民懇話会」を設置し建設計画の提言を受けた後、市長を本部長とする「新庁舎建設推進本部」を設置し基本構想、基本計画案を策定し、パブリクコメント、市民説明会を実施し、これらの市民意見を踏まえて平成23年4月に新本庁舎基本構想及び基本計画を策定、その後市民説明会を6会場で実施、同年5月〜11月にプロポーザルにより設計事業者を選定。12月〜3月にプロポーザル案をもとにして市民参加のワークショップ6回開催し、平成24年4月に基本設計終了、5月から翌年3月で実施設計を終え、平成25年7月工事に着工、平成27年8月にすべての工事を完了した。
 議会での議論は平成24年1月〜9月に「市役所庁舎建設特別委員会」を15回開催した。


敷地を最大限有効活用し庁舎移転の負担も軽減した

 建設手法として特徴的なのは 、敷地内の駐車場に新庁舎を建設し、期間中は旧庁舎で業務を継続し新庁舎完成後に移転。旧庁舎を解体後に市民ホール棟を建設したことだろう。
 
左手前が新庁舎で奥が市民ホール。その右に見えるのが既存の保健センター。それぞれは廊下で結ばれている。
庁舎北側に状況。喜多方市の象徴の蔵を残し、敷地形状に合わせた配置にしている。


新庁舎の立面はこのような形になっている。これは4階議会フロアの案内図だが、委員会が同時開催できる構造。

市民参加はワークショップ形式で

 中心市街地にある市役所としては、蔵とラーメンで有名な 観光地として来外者の駐車スペースもある程度確保しておきたいとの思いもあったそうで、こうした事情も勘案しながら喜多方市の人口規模に相応の執務スペースを算出し、市民ホールの会議室も庁舎の会議室として活用することで新庁舎の床面積を削減して敷地の有効利用を図っている。 
 市民参加はワークショップ形式をとり基本構想、基本設計、実施設計と進むプロセスごとに市民参加を募って行ってきた経緯は小金井市でも参考になる点が多い。
 
外光の取り入れ方が秀逸で、美術館の廊下を思わせる雰囲気。


天井はプレキャストコンクリートパネルそのもの。パネルのつなぎ目のスリットに照明を配置、空調や電機などの配線の大部分は床下に。そのため空調吹出し口は床にある。

 設計についても工事期間短縮のために、現場でのコンクリートの打設を減らすためプレキャストコンクリートパネルを採用し、室内も釣り天井ではなくコンクリートパネルや天井配管をむき出しにするなど、過度な装飾的要素を排したデザインにしている。しかし、東北の寒冷な気候に対応するための複層ガラスや、豊富な地下水を利用した冷房や屋上の太陽光パネルで環境負荷を低減し、エネルギー効率を高めている点も見逃せないポイントとして特に記しておきたい。

市民要望を受け止めた市議会


 庁舎建設について市議会は特別委員会を設置して9ヶ月間で15回開催した経過を参考にすべきではないだろうか。町村合併を経て、市役所機能の効率化と庁舎のバリアフリー化に対する市民要望の高まりと、東日本大震災以来防災拠点として、震災の復興拠点としての庁舎の重要性を市民の視点で勘案すれば、小金井市でも一刻も早く新庁舎の建設が望まれるように思えた。
地下の様子。庁舎は免震構造で、ここに組み上げた地下水を循環させ冷房に使用する使用後の地下水は庁舎内のトイレ用に再使用している。







2016年6月17日金曜日

個別支援の検討と「基礎的環境整備」・・・予算特別委員会から

 本日、予算特別委員会が行われた。今回の補正予算で鈴木が注目し、質問したものは以下の2点。

①保育園医療行為対応非常勤嘱託職員報酬
保育園に入園希望する医療行為が必要な児童に対し、看護師2名を配置するための人件費
②不登校児童・生徒支援モデル事業
→東京都の補助事業に応募して獲得したモデル事業で、2年限定の事業。スクールソーシャルワーカー(SSW)2名、医師、訪問支援員などの支援チームで対象児童・生徒の支援を行うもの

①では、こうしたケースについて、児童の受け入れを前向きに捉えて保育園入園の希望が叶えられるということで、今回の対応は評価できるし感謝している。
 非常にデリケートな事例で慎重な対応が求められるが、その上で気になるのは今後同様な希望があった場合の対応である。医療支援が必要な児童が保育園入所を希望する場合、小金井市の対応方針が必要と感じるからだ。個別の事例とはいえ、合理的配慮の提供とセットで検討しなければならない基礎的環境整備の視点から、今後こうした事案が起きた時の保護者に対する支援について、例えば児童発達支援センターきらりで行なっている相談支援を活用するなどの基本的なルールを作って対応する必要はないだろうか。場合によっては保護者の希望に添えない場合の対応も含めて、そこにきらりが介在して保護者の不安を取り除く工夫は必要と思う。

②では、2年間限定とはいえ、都のモデル事業を獲得して不登校児童・生徒の支援に踏み出すことを評価したい。モデル事業で得られた知見をその後も継承し、小金井の教育レベル(学力だけではない水準)の引き上げにつなげていただきたいし、支援チームでこの問題に取り組むことで、学校の負担の軽減も期待できるのではないだろうか。

 その後行われた採決では、共産党の板倉・関根委員以外は賛成し、補正予算は可決となりました。
 市議会注目の市役所庁舎複合化の議論は、22日の予備日に開催される全員協議会で庁内プロジェクトチームの中間報告が行われる予定である。

 


2016年6月1日水曜日

市議会注目の案件は・・・(6月議会は2日から開催です)


 小金井市議会は明日6月2日から、平成28年第2回市議会定例会(6月議会)が開催される。上程される議案数が7本と他の定例会に比べると少ないが、保育園利用者負担軽減に関する議案や、5月臨時会で議会から求められている庁舎複合化に関するプロジェクトチームの中間報告や新福祉会館の建設市民検討委員会関連予算などは会期中に後日改めて示されることになっている。質問が集中し丁寧な説明が求められる議会注目の案件が現在は示されていないため定例会全体がどのような展開になっていくのかは今の時点ではまだわからない。
 今回の補正予算で注目しているのは、東京都補助を活用した「不登校児童・生徒支援モデル事業に要する経費」だ。どのような経緯で都補助を獲得し、どのように具体的支援を展開していくのか明らかにしていきたい。また、保育園での「医療行為対応非常勤嘱託職員報酬」が今回補正予算計上されていることも注目している。おそらく個別の配慮に基づくものと思われるので、公開の場でどこまで事情を明らかにできるのか、質問するこちら側にも相応の配慮が必要だが、経管栄養などの医療行為が必要な子どもたちにとっては待望の取組みになると感じている。
 会期は6月24日までの予定で一般質問は6月6日(月)から10日まで。ワタクシ鈴木の質問は6日の5人目。予定通りならば登壇は16時30分から。
 通告した質問は2点。
1.地域防災計画に見る小金井市の課題について
2.障がい者への合理的配慮について、市の検討状況を問う
以上2点で質問の予定です。
 市議会日程日割表については以下のリンクをご参照ください。
https://www.city.koganei.lg.jp/shisei/gikaijimukyoku/info/20160531170347924.files/280602hiwari.pdf
 

2016年5月28日土曜日

暫定予算解消。新庁舎と福祉会館を優先整備へ

 小金井市議会は、平成28年度予算審議のため開催した臨時会を5月19日と、会期延長して23日、24日未明まで審議を行い、賛成多数で市長提案の28年度予算が可決、成立し、暫定予算が解消した。
耐震性不足が指摘されている市役所本庁舎だが、新庁舎建設検討が進まないと根本的な問題は解消しない。

 長時間行われた審議の中で市長は、「市役所庁舎6施設複合化の一括整備の早期実現は困難と考え、いったん立ち止まって整理し、福祉会館機能と新たな防災拠点となる市役所庁舎の複合化を優先する」と、市長公約の一部変更する考えを示した。また現在は休止状態の新福祉会館市民検討委員会についても平成28年第2回市議会定例会で提案することを表明した。
 また、福祉会館の仮移転先については、本町5丁目の民間建物を賃借使用するとし、賃借料などの必要経費を予算計上していた。
 24日未明に行われた採決では賛成12、反対11の僅差で可決、28年度予算が成立した。
「稲葉プラン」により、新福祉会館建設地とされている本町暫定庁舎と駐車場
 予算は成立したが、これで全て良しということには当然なっていない。庁内の6施設検討プロジェクトチームが現在検証を行っている最中で、現移転では福祉会館の建設時期が明らかにできないわけだが、市民検討を早急に進め、建設スケジュールを議会や市民に示す必要がある。また財源計画のツメも必要など、やるべき仕事は山積している。
 議会の理解を得る努力も怠らず行うことが重要で、6月に行われる6施設PTの中間報告についても議会への十分な説明が必要と考えている。
 この臨時会では長らく空席だった第一副市長に上原秀則氏が選任された。3名体制となり強化された新たな理事者体制で、こうした難問をクリアしていただきたい。
 熊本地震の被災状況を見ても、新たな防災拠点としての市庁舎の重要性は高まるばかりだ。6施設PTの作業の行方に今後も注目していきたいと考えている。
新庁舎建設予定地のリサイクル事業者とカン、ペットボトルの処理施設。今後、市で検討を進める清掃関連施設整備計画を策定する中で、移転先について丁寧に検討していく必要がある。

生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

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