2019年8月29日木曜日

上映会の主賓は重症心身障がい児

 次男に知的障がいがあると気づいて以来、長男の子ども時代は、次男を含めた家族で映画を見に行かなかった。その時代のお出かけは妻が長男を連れ、私は次男とドライブして休日を過ごすことが当たり前と思っていた。
 長男の映画鑑賞には、なぜか私が付き合い、ディズニー、スタジオジブリなど、様々な映画を長男と一緒に見てきたのだが、次男と一緒に映画を楽しむという発想はなかった。
 そんな私が昨日参加させていただいたのは、重度の肢体不自由児、医療的ケア児が周囲に気兼ねせず自由に鑑賞できる映画上映会だ。


 医療的ケア児の対応については、私自身が3月議会の一般質問で取上げたし、現在市議会に医療的ケア児のサポート体制拡充に対する陳情が提出され、厚生文教委員会で議論されている事もあり、個人的にも重症心身障がいや医療的ケア児の当事者保護者さんのお話を聞かせていただき、勉強したい思っていたところ、NPO法人UPTREE理事長阿久津さんに、障がい児、家族やきょうだいも気兼ねせずに楽しめる映画上映会企画があるとの話を聞き、参加させて頂いた。


  上映会を主催したのは東村山市のNPO法人Linoさん。代表は、娘さんの病気を機に、看護師免許を取得し、病院勤務の看護師の杉本ゆかりさん。当事者の母親だ。
 上映会4回目の上映は「トイストーリー4」。映画上映だけでなく、会場では阿久津さんによる家族写真撮影サービス、ポップコーンやジュースはスポンサーの(株)ケイアイ様から。様々なプレゼントが用意され、イオンシネマ総支配人の道又さんの細やかな気配りもあり、皆さんとてもリラックスして映画を楽しんでいる様子で、お手伝いをしているつもりのこちらまで嬉しくなるのが不思議だ。
 当事者、家族、きょうだい達にとっても夏休み最後の最高のプレゼントになったのではないだろうか。
 巨大ショッピングモールの映画館だから駐車場の心配は皆無。館内では床にマットを敷いて寝転んでも、楽しすぎて声が出たって、貸切だから大丈夫!呼吸器の電源もイオンさんが延長コードを用意してくれたのでOK。
 一緒に参加した家族の皆さんはお子さんの車イスの横で、これまたイオンさんが用意してくれたパイプ椅子に座って見鑑賞。パイプ椅子運びや車イス介助はスズキ他のボランティア男子、チケット受付やジュース受渡しは今回可愛いJKが担当。みなさんよく頑張りました。

 重度の障がい児家族が、無意識のうちに諦めてしまう映画鑑賞がこんなに楽しめるなんてスゴい! 
 決して力まず、笑顔で動いてたスタッフなど、驚きと感動が連続し、涙ウルウルの上映会で、またお手伝いしたいと思わせる貴重な体験をさせていただいた。
 

2019年8月5日月曜日

食べることに困難を抱えている子は、他にもアンバランスを抱えている


 8月2日(金)に東久留米市にある東京学芸大学附属特別支援学校を会場に開催された「発達障害と食の困難と発達支援」〜本人・保護者を交えて考える〜 に参加した。
 発達障がい児者当事者に多い感覚過敏が関係する食の艱難について、東京学芸大学高橋智先生と立命館大学の田部絢子先生からの解説、食の困難を抱える当事者2人と、当事者のお母様のお話を中心に、第2部では専門家と当事者を交えたパネルディスカッションが行われた。

 食べ物の好き嫌いは発達障がいのある、なしに関わらず誰にでもあるものだが、発達支援などの専門機関でも、障がいと食の困難さの関係についての理解不足はあること。好き嫌いは偏食ではないこと。食の困難について、その困難さが多様で、本来は個別的な対応が求められるものであることが分かった。
 食の困難さの支援は近年のニーズの高まりを受け、歯科医療に新たな考え方が浸透した結果、2018年から機能発達不全症として保険適用となり、地元小金井市にある日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが口の発達支援センターKURIN(くりん)で摂食障害のサポートを始めている。


 食の困難を抱える子どもたちが成長する過程で、まず始めに子どもたちの前に立ちはだかるのが、保育、教育の場で行われる完食指導だ。特に就学前の発達にアンバランスのある子どもたちの場合は、本人も辛いのに辛さを言語化できず、また多くは辛いと感じていない、他者との感覚の違いがあることに気づいていないことが本人の辛さを助長するのだ。母親に安易に調理の工夫を求めることも母親を追い詰めるだけで、かえって親子の緊張を招いてしまうことが、当事者の母親の立場から語られた。
 「正しい食べ方や完食指導の前に、本人にプレッシャーを与えず、チャレンジを求めずにまず、本人の話しを聞くべきではないか」との田部先生のお話は、指導者たる学校の教員や保育所、幼稚園の教諭の皆さんには是非とも聞いていただきたい内容だった。行きすぎた完食指導は、当事者たる子どもたちにとっては虐待に等しく、心に深い傷を負わせてしまうことをもっと認識すべきであろう。このことは登壇した当事者が当時の行きすぎた指導について、はっきりと「あれは虐待だった」と話していたことの重さを受け止めるべきと感じた。
 「食の困難を抱えた子どもには他にもなんらかの困難を抱えている」という当事者の母の言葉も強く印象的で、専門的研究者のリードにより、食の困難について、当事者視点で知ることのできた大変貴重な機会だった。


 最後に当日の登壇者のひとりである菊間章紘(きくまあきひろ)さんが絵を描き、高橋智先生が監修した絵本「あっくんはたべられない」(食の困難と感覚過敏)を紹介したい。

 周囲のみんなと同じものが食べられなかった自分の気持ちを表現したもので、こうした感覚・体験を絵本にして、子どもの偏食は好き嫌いやわがまま、母親の調理方法、上手下手の問題ではないことを、絵本にして広く知らせることは、保育・教育に携わる関係者はもとより、食べることにアンバランスを抱える子どもたちにとっても、その意味は大きいのではないだろうか。



生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...