2022年5月15日日曜日

生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)



昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。

723日まで6回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第1回目で、講師はこれまで3期にわたり小金井市地域自立支援協議会会長を務めていただいた日本大学文理学部教育科教授、東京学芸大学名誉教授、放送大学客員教授の髙橋智先生と、以前の髙橋智研究室の修士課程に在籍していた発達障がい当事者Rさん。Rさんが研究室時代に自ら作った「半生の振り返り」を元に就学前から小中高から大学院、就労に至るまで、発達障がい当事者が自らの特性と向き合ってきた生き様をたっぷり聴かせていただきました。

まず、自分の生きづらさの「もと」に気づいて、それを自ら受容するまでの道のりは決して平坦ではないこと。成長の過程では安心して自分を表出できる居場所、共感し共有する仲間が必要なことなど、共生社会を実現するために発達障がい者当事者の生きづらさに寄り添い、支えるための地域の役割が見えてきた気がしました。

また、お話の中でなんとRさん、結婚していたことが明かされ、会場が拍手に包まれるハプニングも。Rさんの院生時代に髙橋研究室でご一緒させていただいていた私にとっても、発達障がい者当事者として、様々な葛藤を経験しつつ社会人として自立したRさんとの再会は嬉しい驚きでした。

次回は5月28日(土)10時〜。ロービジョン(弱視)当事者の大平英一郎(ロービジョンフットサルクラブ CA SOLUA代表)

http://www.ntk-koganei.org/news_events/disp.php?ne_id=974

2020年12月7日月曜日

障がい者の真の自立について考えてみた


 「障がい児・者が、生まれ育った地域で普通に暮らしていくことはできるのか」をテーマに、小金井市の現状を知りたいとの思いから、障がい児・者保護者の皆さんにお集まりいただいた懇談会を開催させていただいた。

 当事者ご家族のお話を直接伺いたいと参加した菅直人衆議院議員とともに、特別支援学校高等部在籍児、高等部卒業後に障がい福祉施設の生活介護利用者で知的障がい、身体障がい児・者保護者の皆さんのお話を伺った。

 特別支援学校高等部卒業後の受け入れ先施設の定員が一杯で選択肢が極端に少ない現状の不安。障がい者が社会的自立を実現するためのグループホーム定員の少なさ。そのグループホームでさえ、親が亡くなると入居し続けることが困難になる現実、つまりグループホームは終のすみかではないことなど、お話はどれも切実で心震わせるものばかり。参加した菅直人衆議院議員は、「ご家族から直接お話を伺い、改めて障がい者が地域で暮らし続ける難しさを感じた。様々ある保護者の皆さんの願いを受止め、今後何ができるか考えていきたい」との感想だを語った。

 私には愛の手帳2度知的障がい者の次男がいるので、事情はわかっていると思っていたが、障がいある子どもと共に暮らし続けたいと願う保護者の思いは小金井市の現実からはかけ離れたものであること。障がい福祉施策について、市政の課題はいまだに大きいこと。まだまだこの私にもやるべきことが多くあることを改めて思い知らされる2時間だった。


2020年6月9日火曜日

選択肢が用意されてこその合理的配慮

 6月1日に開会した市議会第2回定例会(6月議会)は、4日から一般質問が始まった。鈴木の質問は4日の4番目。
4日13時からの動画内で18分49秒から登壇している。
 今回の一般質問通告を行った議員は22人。ほとんどの議員が新型コロナウイルス感染症を何らかの形で取り上げていて、このテーマに触れない質問者はわずか2人で、そのうちの一人が鈴木の質問だった。
 議場での密を避け、ソーシャルディスタンスを確保するため本会議中の議場に入るのは定足数を満たす12人のみ。それ以外の議員は控室の庁内放送を傍聴、答弁がない部長も別室で待機する形式にしたため、議場は上の写真のような状況で、発言の際は、飛沫感染防止のため質問も答弁も着座のまま行っている。


小学4年生以降の特別支援学級スクールバス利用を検討し、選択肢を用意すべき
 鈴木が平成22年に取り上げて以降、スクールバスの台数は増やされているが、利用できる学年は3年生のまま。
 この現状について、障がい児に対する合理的配慮提供の観点から、小学4年生以降のバス利用について、保護者の希望があった場合には選択肢を用意するべきということが質問の趣旨だ。

比べると現状が見えてくる

 上の表は鈴木の要求資料だ。小金井市の特別支援学級設置校は、小学校9校のうち、第1・第2小学校と東小学校の3校。スクールバスの運行は登校時3台、下校時は2台で送迎、登校便のうち1台は、始発時間前のCoCoバスミニを活用して運行している。
 特別支援学級の保護者は、4年生以降は自力で登校できるよう自主登校の練習をしている。こうした練習は、子どもたちの将来を考えた身辺自立を支える指導の一環として行われ、私も子どもの成長を支え、促すありがたい取組みだ。
 しかし、課題は以下の3点と考えている。
①今や通常学級の通学区域内でも、保護者が登下校の見守りをしている現状では、通学区を超えた長距離を一人で登下校する子どもの安全確保の観点からは問題がある。
②小学4年生まで利用できる障がい児の学童保育所への通所について、一人での登校が少し難しい子どもの通う学童保育所が、在籍する特別支援学級設置校ではない場合は、学童保育所通所にも困難を生じる恐れがあること。
③東京都では4例目となる「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を作る小金井市条例」を制定した小金井市としては、最低でも4年生以降のバス利用についての選択肢は提供されるべきではないか。
 以上の理由から、スクールバス利用と登下校の安全確保についてのニーズ調査が必要と考えている。
 「スクールバスを運行している自治体は26市中10市だけ」との答弁もあり、スクールバスが用意されていない自治体の方が多いとの主張だろうが、その前に小金井市の特別支援学級設置校が9校中3校にとどまっている状況が26市比較でどのレベルにあるのかについて分析が必要なテーマだ。
      

小学4年生以降のスクールバス利用もひとつの選択肢として、しっかり、じっくり話し合い検討し、環境整備を行いたい(教育長)

Q:①学区外から通う特別支援学級の子どもたちの通学に関し、子どもの安全確保の観点で現状調査しないか。
②4年生以降の児童にもスクールバス利用の選択肢を提供すべきではないか
A:(学校教育部長)①次年度のスクールバス希望意向調査と合わせて実態調査していきたい。
②保護者との建設的対話を通して、その子にとってよりよい教育環境を整えるため、相互理解を図っていく必要がある。今後スクールバス利用の選択肢の提供も含めて検討する。
Q:小学4年生以降のスクールバス利用希望があった場合は、合理的配慮の提供について協議すべきと考えるが、教育長の見解はどうか』
A:(教育長)「児童生徒が生涯安心して暮らしていくため、今、身につけておくべき能力等を見極め、どのような合理的配慮の提供が必要か、保護者・専門家と協議を重ねるとともに、子どもの声に耳を傾け、検討し、スクールバス利用も一つの選択肢として、その子らしさを最大限伸ばすかわりになっているか、その子の将来の幸せを考えた環境になっているかをしっかり、じっくり話し合い検討し、環境整備を行っていきたい」との答弁を引き出すことができた。


子どもの成長を願う保護者の思いは皆同じ

 スペシャルニーズが必要な子どもは、時として運用されている制度や仕組みがなじまないケースがある。今回取り上げたスクールバス利用に学年の制限がかかっている問題もそのひとつだ。「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」に沿って考えれば、通常の学区域を超えて長距離通学する子どもの場合などは、個別の事情に合わせた選択肢を用意すること。子どもと保護者、教育委員会や学校で、問題を解消するための建設的対話ができる体制や環境を作ること。子どもの成長を願う保護者の思いに応える体制づくり実現のため、今後も引き続きこの問題をチェックしていきたい。


一般質問のYouTubeは、上のQRコードで視聴できます。

2020年4月21日火曜日

全員が当事者意識を持ち感染拡大防止を

正確な情報と冷静な対応を

東京都を含む13都道府県を特定警戒都道府県に

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を踏まえ、4月8日午前0時に東京都を含む7都府県に緊急事態宣言が発令され、その後16日には対象地域が全国に拡大されました。これまでの宣言の対象の7都府県に加え、特に重点的に感染拡大防止を進める地域として、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府合わせて13都道府県を「特定警戒都道府県」と位置付けています。

新型コロナウイルスに関連する小金井市の対応(4月15日時点)


※新型コロナウイルスに関する情報は日々更新されています。小金井市HPを参照し、正確な情報に基づいた冷静な対応が求められています。小金井市ホームページ

感染が疑われる場合の対応 

対応フローをご存知ですか


HELP YOUR HOMETOWN コロナウイルスに負けるな

小金井市商工会青年部によるお弁当発信プロジェクト始まる

この厳しい状況下に、地元で懸命に頑張る飲食店の応援のため、小金井市商工会青年部が始めた取組みが「お弁当発信プロジェクト」。お店のお弁当など、テイクアウトメニューを紹介し、フェイスブックでの発信を始まっています。
小金井市商工会青年部



2020年4月20日月曜日

市議会3月定例会

新年度当初予算は19:4で可決

新型コロナウイルス感染拡大防止対応で1週間休会した第1回市議会定例会

 2月19日に開会した小金井市議会 令和2年第1回定例会(3月議会)は、435億2,700万円の一般会計予算と、国民健康保険、介護保険等の特別会計予算を含む27議案が上程・提案されていました。その後、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえた小中学校の一斉休校の対応や、行政機能全般にわたる感染拡大防止対策を優先するため、3月2日から8日を休会としました。
 3月9日に再開した議会ですが、不測の事態に備えるため常任委員会、特別委員会を半日づつに短縮し、新年度予算審議を行う予算特別委員会も、深夜までの審査はせず、6日間の日程を3日間に短縮して審査しました。
 24日最終日での採決の結果、予算案は賛成19(みらいのこがねい、自民党・信頼の小金井、小金井市議会公明党、改革連合、小金井をおもしろくする会、こがねい市民会議、生活者ネットワーク、市民といっしょにカエル会、緑・つながる小金井)、反対4(日本共産党小金井市議団、情報公開こがねい)で可決しました。

6月の開業を控えて準備が進む武蔵小金井駅南口再開発地区。低層階にオープン予定の商業施設は「ソコラ武蔵小金井クロス」と名付けられた。(開業日は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で変更の可能性があります)

「思いやりのバトン」を地域のみんなで引き継いでいこう

鈴木しげおの一般質問&答弁

Q:「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」施行による好事例を市民に紹介し、表彰しないか。
A:(市長)中学3年生の女子生徒の人権作文「思いやりのバトン」は、全国70万点中5位、法務大臣政務官賞を受賞した。作文にしの条例が引用され、自分に何ができるかとの思いを綴った作文で、教委で作成したパンフレットを読んだことがきっかけということで、条例の広がりの意味でとても良い事例だ。個人や民間事業者を表彰する鈴木議員の提案は、私にはいい提案と思う。
Q:障がい児、医療的ケア児の「保育ニーズ」をどのように捉えているか。児童発達支援事業と居宅訪問型保育を組合わせた障がい児保育の実施について、市長の見解を問う。
A:(市長)保育ニーズが高まる中で、今後も合理的配慮を含めた医ケア児の対応を考えていくが、この分野は経験や専門的見地など、通常の保育園とは違う特別な体制が必要な領域。今後のニーズの高まりの中で、民間事業者の力もお借りすることも、今後の選択肢の一つに入っていくと考えている。

対前年度比で民生費+5.5%、土木費−24.2%。新庁舎(仮)新福祉会館実施設計予算も成立

新庁舎はいよいよ実施設計へ

新年度予算は、高齢者福祉、障害者福祉の財源となる社会福祉費、保育園待機児解消施策などの児童福祉費等を含む民生費が歳出全体の51.5%を占めています。
 また、2023年度中の竣工を目指している新庁舎・(仮)新福祉会館建設に向けた実施設計予算、(仮)新福祉会館に設置する福祉総合相談窓口を、現在の社会福祉協議会で施行実施するための運営委託料、熱中症対策のため、導入済みの第四小学校を除く全ての小学校屋内運動場(体育館)へのエアコン導入予算等が計上され、市政の課題解消を図り、進行する高齢化に対応する高齢者福祉、社会福祉施策の拡充と、子育て環境の向上を目指した予算となっています。










2020年1月25日土曜日

セブン&アイの新たなビジネスモデル。「かいたす」訪問


 セブン&アイホールディングスが、家族介護者のために企画したイベント「かいたす」がイトーヨーカドー武蔵小金井店で開催されていると聞き、本日午後にお邪魔した。
 3階エレベーターホール前に開店したコーナーは、介護食などが並べられ、300円で飲み物とお菓子などが提供され、カフェ的雰囲気で気軽に立ち寄れる工夫が良かった。
 「かいたす」の運営に携わる大石さんと池本さん、NPO法人UPTREEの阿久津代表のお話では、家族介護者に少しのゆとりを」をコンセプトにしたこうした試みが小金井で開催されたきっかけは、セブン&アイ介護運営事務局(かいたす)が、小金井市内で家族介護者支援活動をしている阿久津代表に声をかけたことから始まったのだという。
 「かいたす」のお二人は、それぞれが法人の新規事業開発・経営推進的業務に関わっているご様子で、イトーヨーカドーを運営する(株)セブン&アイが、介護運営を展開していることに時代を感じるとともに、こうした新たなビジネスモデルが小金井発祥になるといいなと思う。
 行政のサービスは、聞かれれば答えるサービスだ。逆にいうと聞かれなければ答えない傾向があるのではないか。特に福祉に関する困りごとを抱えた利用者は、サービスメニューの全体像が見渡せないため、問題の解消に至らない場合が少なからずあると感じることがある。
 「かいたす」のようなサロンが、家族介護者が欲しいモノと情報、孤立しがちな介護者が地域とのつながり=ネットワークを得られる場として定着すれば、家族介護者=ケアラーを、社会と地域が支える新しい考えが理解が進むだろう。そして、こうした意識が地域に浸透すれば、障がい児・者とその家族介護者に対する理解の進化するのではないだろうか。

2020年1月20日月曜日

心のバリアフリー



 1月7日に行われた新春市民のつどいで、市内の中学生が、令和元年度全国中学生人権作文コンテストにおいて東京都大会で最優秀賞。中央大会で法務大臣政務官賞を受賞したことが紹介され、女子生徒さんが市長から表彰された。
 この時は作文の内容はわからなかったのだが、1月14日に開催された地域自立支援協議会で、その内容が「思いやりのバトン」という題名の作文と紹介され、協議会配布資料として作文が配布された。
 なぜ自立支援協議会で?と思ったが、作文を読んで理由がわかった。障がい理解と共生社会の実現について考察する内容だったからだ。

 帰宅ラッシュ時の駅の改札前で、行き先に迷って立ち止まる白杖を手にした4人の視覚障害者に、一緒にいた母親が声をかけて駅員に引き継いだ体験を振り返り、「物理的バリアが取り除かれても、心のバリアフリーが実現できなければ、周囲の無関心な反応は繰り返されてしまう。心のバリアフリーが実現すれば、他のどのようなバリアも乗り越えられる」と書かれている。
 その後に、小金井市には「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」があり、「差別を解消し、障害者と障がい者でないものとが分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、地域の中で共に手を取り合い安心して暮らすことのできる社会をいう」と。条例が定めた共生社会の定義を紹介している。
 作文を書いた彼女は、「一人ひとりの意識と思いやりが社会を変える。困った人を見かけたら、ためらわず声をかけて手助けしよう」と強く思い、視覚障害の女性を見送った後、「思いやりのバトンがつながるといいね」との母の言葉を受け、彼女たちが家に着くまでの間、優しく手をさしのべる人が現れるよう祈って、文は結ばれている。

 地域自立支援協議会の皆さんが発案し、あまり動きが良いとは思えない行政と粘り強く議論して足掛け3年。都内では4例目の施行となる小金井市の条例が、素晴らしい文章力を備えた中学生の少女の心を通じてこのような形で全国に紹介されたのだ。他のどのようなバリアも乗り換えられる、心のバリアフリーの実現に近ずくため、また、少女の澄みきった感性を落胆させぬよう、少女が強く感じたその思いに応え、条例を活用する努力を惜しんではならないだろう。

障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例
第39回全国中学生人権作文コンテスト 主な入賞作品



生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...