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2020年12月7日月曜日

障がい者の真の自立について考えてみた


 「障がい児・者が、生まれ育った地域で普通に暮らしていくことはできるのか」をテーマに、小金井市の現状を知りたいとの思いから、障がい児・者保護者の皆さんにお集まりいただいた懇談会を開催させていただいた。

 当事者ご家族のお話を直接伺いたいと参加した菅直人衆議院議員とともに、特別支援学校高等部在籍児、高等部卒業後に障がい福祉施設の生活介護利用者で知的障がい、身体障がい児・者保護者の皆さんのお話を伺った。

 特別支援学校高等部卒業後の受け入れ先施設の定員が一杯で選択肢が極端に少ない現状の不安。障がい者が社会的自立を実現するためのグループホーム定員の少なさ。そのグループホームでさえ、親が亡くなると入居し続けることが困難になる現実、つまりグループホームは終のすみかではないことなど、お話はどれも切実で心震わせるものばかり。参加した菅直人衆議院議員は、「ご家族から直接お話を伺い、改めて障がい者が地域で暮らし続ける難しさを感じた。様々ある保護者の皆さんの願いを受止め、今後何ができるか考えていきたい」との感想だを語った。

 私には愛の手帳2度知的障がい者の次男がいるので、事情はわかっていると思っていたが、障がいある子どもと共に暮らし続けたいと願う保護者の思いは小金井市の現実からはかけ離れたものであること。障がい福祉施策について、市政の課題はいまだに大きいこと。まだまだこの私にもやるべきことが多くあることを改めて思い知らされる2時間だった。


2020年1月20日月曜日

心のバリアフリー



 1月7日に行われた新春市民のつどいで、市内の中学生が、令和元年度全国中学生人権作文コンテストにおいて東京都大会で最優秀賞。中央大会で法務大臣政務官賞を受賞したことが紹介され、女子生徒さんが市長から表彰された。
 この時は作文の内容はわからなかったのだが、1月14日に開催された地域自立支援協議会で、その内容が「思いやりのバトン」という題名の作文と紹介され、協議会配布資料として作文が配布された。
 なぜ自立支援協議会で?と思ったが、作文を読んで理由がわかった。障がい理解と共生社会の実現について考察する内容だったからだ。

 帰宅ラッシュ時の駅の改札前で、行き先に迷って立ち止まる白杖を手にした4人の視覚障害者に、一緒にいた母親が声をかけて駅員に引き継いだ体験を振り返り、「物理的バリアが取り除かれても、心のバリアフリーが実現できなければ、周囲の無関心な反応は繰り返されてしまう。心のバリアフリーが実現すれば、他のどのようなバリアも乗り越えられる」と書かれている。
 その後に、小金井市には「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」があり、「差別を解消し、障害者と障がい者でないものとが分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、地域の中で共に手を取り合い安心して暮らすことのできる社会をいう」と。条例が定めた共生社会の定義を紹介している。
 作文を書いた彼女は、「一人ひとりの意識と思いやりが社会を変える。困った人を見かけたら、ためらわず声をかけて手助けしよう」と強く思い、視覚障害の女性を見送った後、「思いやりのバトンがつながるといいね」との母の言葉を受け、彼女たちが家に着くまでの間、優しく手をさしのべる人が現れるよう祈って、文は結ばれている。

 地域自立支援協議会の皆さんが発案し、あまり動きが良いとは思えない行政と粘り強く議論して足掛け3年。都内では4例目の施行となる小金井市の条例が、素晴らしい文章力を備えた中学生の少女の心を通じてこのような形で全国に紹介されたのだ。他のどのようなバリアも乗り換えられる、心のバリアフリーの実現に近ずくため、また、少女の澄みきった感性を落胆させぬよう、少女が強く感じたその思いに応え、条例を活用する努力を惜しんではならないだろう。

障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例
第39回全国中学生人権作文コンテスト 主な入賞作品



2019年8月29日木曜日

上映会の主賓は重症心身障がい児

 次男に知的障がいがあると気づいて以来、長男の子ども時代は、次男を含めた家族で映画を見に行かなかった。その時代のお出かけは妻が長男を連れ、私は次男とドライブして休日を過ごすことが当たり前と思っていた。
 長男の映画鑑賞には、なぜか私が付き合い、ディズニー、スタジオジブリなど、様々な映画を長男と一緒に見てきたのだが、次男と一緒に映画を楽しむという発想はなかった。
 そんな私が昨日参加させていただいたのは、重度の肢体不自由児、医療的ケア児が周囲に気兼ねせず自由に鑑賞できる映画上映会だ。


 医療的ケア児の対応については、私自身が3月議会の一般質問で取上げたし、現在市議会に医療的ケア児のサポート体制拡充に対する陳情が提出され、厚生文教委員会で議論されている事もあり、個人的にも重症心身障がいや医療的ケア児の当事者保護者さんのお話を聞かせていただき、勉強したい思っていたところ、NPO法人UPTREE理事長阿久津さんに、障がい児、家族やきょうだいも気兼ねせずに楽しめる映画上映会企画があるとの話を聞き、参加させて頂いた。


  上映会を主催したのは東村山市のNPO法人Linoさん。代表は、娘さんの病気を機に、看護師免許を取得し、病院勤務の看護師の杉本ゆかりさん。当事者の母親だ。
 上映会4回目の上映は「トイストーリー4」。映画上映だけでなく、会場では阿久津さんによる家族写真撮影サービス、ポップコーンやジュースはスポンサーの(株)ケイアイ様から。様々なプレゼントが用意され、イオンシネマ総支配人の道又さんの細やかな気配りもあり、皆さんとてもリラックスして映画を楽しんでいる様子で、お手伝いをしているつもりのこちらまで嬉しくなるのが不思議だ。
 当事者、家族、きょうだい達にとっても夏休み最後の最高のプレゼントになったのではないだろうか。
 巨大ショッピングモールの映画館だから駐車場の心配は皆無。館内では床にマットを敷いて寝転んでも、楽しすぎて声が出たって、貸切だから大丈夫!呼吸器の電源もイオンさんが延長コードを用意してくれたのでOK。
 一緒に参加した家族の皆さんはお子さんの車イスの横で、これまたイオンさんが用意してくれたパイプ椅子に座って見鑑賞。パイプ椅子運びや車イス介助はスズキ他のボランティア男子、チケット受付やジュース受渡しは今回可愛いJKが担当。みなさんよく頑張りました。

 重度の障がい児家族が、無意識のうちに諦めてしまう映画鑑賞がこんなに楽しめるなんてスゴい! 
 決して力まず、笑顔で動いてたスタッフなど、驚きと感動が連続し、涙ウルウルの上映会で、またお手伝いしたいと思わせる貴重な体験をさせていただいた。
 

2019年8月5日月曜日

食べることに困難を抱えている子は、他にもアンバランスを抱えている


 8月2日(金)に東久留米市にある東京学芸大学附属特別支援学校を会場に開催された「発達障害と食の困難と発達支援」〜本人・保護者を交えて考える〜 に参加した。
 発達障がい児者当事者に多い感覚過敏が関係する食の艱難について、東京学芸大学高橋智先生と立命館大学の田部絢子先生からの解説、食の困難を抱える当事者2人と、当事者のお母様のお話を中心に、第2部では専門家と当事者を交えたパネルディスカッションが行われた。

 食べ物の好き嫌いは発達障がいのある、なしに関わらず誰にでもあるものだが、発達支援などの専門機関でも、障がいと食の困難さの関係についての理解不足はあること。好き嫌いは偏食ではないこと。食の困難について、その困難さが多様で、本来は個別的な対応が求められるものであることが分かった。
 食の困難さの支援は近年のニーズの高まりを受け、歯科医療に新たな考え方が浸透した結果、2018年から機能発達不全症として保険適用となり、地元小金井市にある日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが口の発達支援センターKURIN(くりん)で摂食障害のサポートを始めている。


 食の困難を抱える子どもたちが成長する過程で、まず始めに子どもたちの前に立ちはだかるのが、保育、教育の場で行われる完食指導だ。特に就学前の発達にアンバランスのある子どもたちの場合は、本人も辛いのに辛さを言語化できず、また多くは辛いと感じていない、他者との感覚の違いがあることに気づいていないことが本人の辛さを助長するのだ。母親に安易に調理の工夫を求めることも母親を追い詰めるだけで、かえって親子の緊張を招いてしまうことが、当事者の母親の立場から語られた。
 「正しい食べ方や完食指導の前に、本人にプレッシャーを与えず、チャレンジを求めずにまず、本人の話しを聞くべきではないか」との田部先生のお話は、指導者たる学校の教員や保育所、幼稚園の教諭の皆さんには是非とも聞いていただきたい内容だった。行きすぎた完食指導は、当事者たる子どもたちにとっては虐待に等しく、心に深い傷を負わせてしまうことをもっと認識すべきであろう。このことは登壇した当事者が当時の行きすぎた指導について、はっきりと「あれは虐待だった」と話していたことの重さを受け止めるべきと感じた。
 「食の困難を抱えた子どもには他にもなんらかの困難を抱えている」という当事者の母の言葉も強く印象的で、専門的研究者のリードにより、食の困難について、当事者視点で知ることのできた大変貴重な機会だった。


 最後に当日の登壇者のひとりである菊間章紘(きくまあきひろ)さんが絵を描き、高橋智先生が監修した絵本「あっくんはたべられない」(食の困難と感覚過敏)を紹介したい。

 周囲のみんなと同じものが食べられなかった自分の気持ちを表現したもので、こうした感覚・体験を絵本にして、子どもの偏食は好き嫌いやわがまま、母親の調理方法、上手下手の問題ではないことを、絵本にして広く知らせることは、保育・教育に携わる関係者はもとより、食べることにアンバランスを抱える子どもたちにとっても、その意味は大きいのではないだろうか。



2019年5月27日月曜日

児童発達支援センターきらりが実施する「きらきらサポート」始まる

昨年10月1日に施行された「障害のある人もない人も共に学びともに生きる社会を目指す小金井市条例」を、障がいに関わりを持たない市民へ広く知らせるため、条例を策定した地域自立支援協議会有志が、公募した一般市民と当事者のご協力を得て作成した「共に学びともに生きる小金井市をめざして」パンフレット。地域での障がい理解のためにはこのような取組は欠かせないものだ。

 5月14日に開催された小金井市児童発達支援センター運営協議会で、新年度予算に計上されていた児童発達支援センターきらりが、今年度から実施する巡回相談事業の名称が「きらきらサポート」として、6月から事業が開始されることが明らかになった。
 きらりが実施する巡回相談事業は、もともとは、きらりが開設される以前に市民参加で行われた意見交換会と、意見交換会を基に作成された事業詳細計画で、きらりが実施するべき事業として位置づけられていたものが、これまで実施されず、鈴木も何度か一般質問で取り上げ、残された課題と指摘してきた事業だった。
 巡回相談は、幼稚園・保育園で、個別の支援が必要な児童を日々支援している教諭や保育士等の支援者が対象で、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士が各園を巡回する事業だ。しかし、これまでは、公立保育園では2月に1回巡回していたのに対し、民間園では園が実施する事業の2分の1か、あるいは補助基準額の25万円のいずれか低い方を補助する形式だったため、実施事業に公民格差があることと、この分野でのきらりの関わりが薄かったため、本市の児童発達支援施策を展開する上でもきらりが十分に活用されていないといった問題が他の議員からも指摘されていた。
 これが、所管する自立生活支援課の事業予算として提案され、名称も「きらきらサポート」としてスタートすることになったわけだ。

 説明によると、この事業は、まずは2年間の試行的実施とすること。具体的な業務としては、決定した訪問先で児童の行動観察を行い、担任プラス施設職員でカンファレンスを実施する流れ。訪問は1名で、1園につき年間3〜4回を想定していることなどが分かった。
 この日の協議会では、きらり主体で行う巡回相談の実施を長年希望してきた民間保育園や幼稚園代表から、事業開始に対し感謝を表明する意見があったが、同時に制度設計の過程で、施設に対するヒアリングが不十分、試行期間中であれ全ての園を訪問し、市全体の状況を共有した上で本格実施すべきとの当事者保護者の発言などもあり、事業の試行段階でまだまだ検討すべき課題は少なくない印象を持った。
 発達のつまづきを支援するためには、個別の対応を充実さする必要があるが、そのためには専門家が現場に入り、保育士や教諭に助言をすることはとても重要で、だからこそこの事業が現場のニーズを踏まえたものであってほしいと願っている。

2019年2月23日土曜日

まずは本人を知ること・・・障がい者を支援するということ


本日も興味深いイベントや講演会がたくさんありましたが、午前中は手をつなぐ親の会とNPO法人さくら会主催講演会「知的障害のある方の理解と支援」、講師は横浜市の社会福祉法人幸会理事長の伊藤 浩さんでした。
お話は、「日常・社会生活に制限がなければ障がい者ではない」・・・と、社会的障壁=障がいの社会モデル、障がい者の定義から始まりました。
支援機関、支援者に求められるものについて、「より良い支援のために必要なことは理解と見きわめ。そのためには当事者を知ること。本人はできるのにしない(させてもらえていない)のか。もしかしたら、やってみたら(練習したら)できるのではないか。本人を知ることでこれらのことがわかってくる。
そもそも何のために支援をするのか。それは障がい者本人の自立と社会参加のため。
それでは障がい者の何を支援するのかというと、日常・社会生活を支援すること」・・・。
通常、障がい福祉制度の話は難しい単語が次々に飛び出し難解になってしまいがちなのですが、伊藤さんのお話はやさしい言葉で分かりやすい内容でした。
障がい者本人の見きわめ? できること、できないこと、
もしかしたらできるのにチャンスを作れていない?
自分の次男に対してはどうなのだろう、と考えてしまう言葉でもありました。
参加者は障がい者の家族や事業所関係者が多かったのですが、こういったテーマこそ地域で暮らす障がいに縁のない方にこそ聞いてもらいたい、と強く感じる講演でした。

2018年11月22日木曜日

子どもの発達と教育相談を一本化した「エール」(日野市発達・教育支援センター視察報告)




福祉と教育部局が同居し、相談支援を一元化した「エール」

 平成30年11月9日、日野市のエール(日野市発達・教育支援センター)の会派視察を行った。
 今回、小金井市議会からは鈴木成夫、村山ひでき、岸田正義、沖浦あつし議員。府中市から須山たかし議員、あきるの市から中村則仁議員の6名で訪問させていただいた。業務がご多忙中にもかかわらず、視察にご対応いただき、丁寧なご説明をいただいたことに心より感謝を申し上げたい。 


巡回相談は幼・保・小・中で実施、特別支援教育全般もエール発で支援し、「かしのきシート」で連携・共有

 エールは、既存の障害児通所施設「希望の家」の老朽化により、平成26年4月に開設された施設で、発達支援課と教育支援課が同じ施設の1階フロアあり、発達や教育に関連する相談と支援窓口が一本化されていることが最大の特徴だ。
 センターに寄せられた相談は、センター総合相談受付で受け止め、内容に応じ、就学相談、心理相談、SSW、医師など適切な担当者、必要な支援につないでいる。 
 施設の実施事業は、大きく分けると相談支援(心理、一般、医療、就学・進学相談、児童福祉法に規定する障害児相談、計画相談)支援事業(定員35名で2歳〜5歳児対象の通園事業、幼児親子グループ、集団専門指導、個別専門指導、集団トレーニング、保育園・幼稚園・学童クラブ・小中学校への巡回相談、学校からの依頼によるスクールソーシャルワーカーの派遣)
 学校への事業として特別支援教育(特別支援学級、特別支援教室「ステップ教室」、学校の保健室と言われるリソースルームでの個別学習支援、日野スタンダードと呼ばれるインクルーシブモデル授業のユニバーサルデザイン化の研究、一時預かり、保護者交流と不登校支援)などなど、と多種多様な業務を0歳から18歳までを対象に行っている。「かしのきシート」は日野市の発達支援シートで、日野市の場合は施設が記録し保護者にも開示する形で個別の教育支援計画とも統合されている点が小金井市とは大きく異なる点だ。

個別教育支援計画と統合された「かしのきシート」は、希望すれば保護者がすべて見ることができる

 かしのきシートとは子どもの成長を記録した個別の支援計画で、就学前から就学後18歳までの支援を切れ間なくつなぐためのものだ。小金井市のさくらシートも同様の目的で作成されたものだが、就学相談時や就学後には活用されないことが課題だ。日野市では、発達・教育支援システムのカルテで一本化し、かしのきシートと個別の教育支援計画との情報を共有化、管理している。子どもの利用施設がカルテに記入すれば統合された情報がカルテに蓄積され、小・中学生は教育支援計画と統合されているため、学校の校務支援システムとも統合されているため、教員の手間を増やさずにシステムは活用され、本人が30歳になるまでエールが管理し、大学進学時や就労にも活用されている。

早期発見、早期療育の実現は巡回相談から

 発達・教育支援システムに参加する施設は、保育園、幼稚園、小・中学校合わせて76拠点あり、かしのきシートを管理し、またそのすべてに巡回相談が行なわれている。かしのきシート作成者は全児童・生徒数の約6%で、これは何らかの配慮や支援が必要な児童。生徒の割合とされる6.5%に迫る数字だ。保護者から受けた相談内容は、必ず保護者の同意を得て所属機関に伝えて連携している。
 小金井市では課題となっている巡回相談体制は、保育園は以前からの委託事業で12名体制。幼稚園はエールの3名で対応。学童、小・中学校も3名体制で年3回実施している。

総勢60人の専門職が相談と支援にあたっている

 保健師、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士、社会福祉士、教員OB、スクールソシャルワーカーなどの専門職は、正規職員以外にも非常勤嘱託職員として、勤務形態により集計が難しいが総勢では50〜60人ほどは所属し業務にあたっている。現状で相談事業の待機はなしだが、発達検査は受付から検査まで2〜3ヶ月期間がかかる。
 また相談支援事業は通園部門の利用者が中心で、すべての利用者を対象にしていない。
 保育所等訪問支援の実施については、エールは児童福祉法上の児童発達支援センターではないため、現状では未実施だ。

小金井市がエールに学ぶべきものは?


 子どものカルテを一本化して施設間で共有し、その子どもに合わせた支援方法を提供している。そしてその記録は学齢期以降も引き続き記録されるため、18歳以降の就労や大学受験の際にも活用され始めているとのお話を伺った。これは児童発達支援事業が、18歳以降のキャリア支援に活用された興味深い事例である。 
 一方、小金井市の発達支援シート「さくらシート」は、就学後にはあまり活用されていないと感じている。そして幼稚園・保育園に対する巡回相談体制は十分とはいえず、支援ニーズの共有化も不十分だ。巡回相談の結果、支援や配慮が必要な子どもたちの存在は明らかになったとしても、保護者の障がい受容が進まない等の理由から、早期発見できても早期療育につながらないため、毎日生きづらさを抱えて困っている子ども自身に支援が届いていない状況が、少なからずあるのではないかと感じていて、ここが最大の課題だ。
 しかし、この課題は指定管理委託事業所の「きらり」単独では改善できない問題で、そのためには子ども家庭部、福祉保健部、学校教育部と教育委員会が協働し、きらりの実施事業を中心にした小金井版の「子ども支援システム」を構築し、すべての子どもの育ちを支える環境を整えるべきで、そのために日野市の取組に学ぶべきものは多いのではないだろうか。私自身、今後もより良い子どもの発達支援施策を考える上で大変参考になる視察だった。
 
 

2018年10月19日金曜日

特別支援学校に、貫井ばやしがやってきた!


 9月29日(土)都立小金井特別支援学校の体育館で行われた「やってみよう!貫井ばやし」に参加してきた。
 貫井南町ゆかりの伝統芸能の貫井ばやしは、正式には「目黒流貫井囃子保存会」といい、小金井市無形文化財に指定されている。
http://www.nukui-hayashi.com/top.html

 会場は、今年4月に完成した新校舎。冷暖房完備、視覚的支援のためのプロジェクターが常設された最新の体育館。市民開放事業第1号として行われたものだ。
 障がい児が、周囲に気がねすることなくお囃子の楽しさを感じてほしい」との思いから始まったこの企画。大澤会長から鈴木に、会場探しのご相談をいただいたことから関わらせていただいた。平成23年に中学部を卒業した次男の母校でもある都立小金井特別支援学校に会場提供のお願いをしたところ、休日の施設開放を快く認めていただき実現した。
       
 
 通常はあまり見ることができない獅子頭の後ろ側のからくりの解説を大澤会長から。口の動きだけでなく全体の動きで様々な表情を表現する技の解説だ。

「ひょっとこ」は、かまどの火おこしの時の表情を面にしたもの、と聞き目からウロコである。お囃子の振り付けは農作業の仕草が元になっていると聞けばなるほどと思うのだが、「仕草の元になった農作業が今の生活から消えているために伝え方が難しい」と聞くと、「うーん」と唸ることしかできない。
 会場と日程の関係で十分に告知ができず、チラシ配布も不十分、小学校運動会の集中日という条件が重なり参加者数に不安があったところへ当日は雨・・・。
しかし、支援学校や児童発達支援センター「きらり」利用者家族、飛び入りの参加(感謝感謝)があったおかげでまずまずの入りとなり、企画に関わらせていただいた身としては一安心といったところだった。
プロジェクターの操作に戸惑ったり、舞台の緞帳を上げることができなかったりといったハプニングはあったが、伝統芸能であるお囃子の楽しさを受け止めた子どもたちが、走り回って、飛び跳ねて、楽しさを体いっぱい表現している姿がなんとも楽しそうで、こちらまで幸せになれたひと時だった。


2018年9月30日日曜日

「共に学び、共に生きる社会を目指す」条例に期待すること

 小学校運動会の集中日の昨日は、小雨が降り出した前原小学校にお邪魔したあとは萌え木ホールで開催の「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」制定記念市民意見交換会へ。
 この条例は、小金井市地域自立支援協議会委員の発議により、3年余りかけて条例素案を作成し、これが平成30年3月議会に上程され、所管する厚生文教委員会での審査を経て、議員修正案を6月議会で全会一致で可決し、10月から施行されることになったものだ。 
 多摩26市では、八王子、国立、立川市に続き、4番目の小金井市が条例施行を記念して開催した意見交換会だ。
 雨の降るなか多くの参加者が詰めかけた会場では、協議会副会長による逐条解説の解説、条例制定の意義と目的の説明と、協議会に4つ設置された作業部会からの報告、その後は参加者からの意見を伺う時間になった。
 「障がいを理由とした差別のない地域づくりを目的としたこの条例を地域に根ざしたものにするためには、大多数の”知らない”市民に対する条例の周知が重要、そのためにもわかりやすい条例にすべきではないか」との意見が印象的だった。また、重度の知的障害の息子さんがスーパーでパニックに陥った時、愛に溢れた対応でパニックを鎮めてくれたスーパー店長とのエピソードを披露したうえで、「この条例が、多くの市民に理解されることで、障がい児・者が暮らしやすい地域になっていくことを期待する」と発言した手をつなぐ親の会代表委員の言葉の重さに胸が熱くなった。
そうなのだ。障がい児者の保護者や家族にとって、こうした話は山のようにあるのだ。この痛みを知る家族や支援者の思いを良く理解してほしい。
 出来上がったばかりの条例の文言や逐条解説に力を入れるのもいいだろう。しかし、今後この条例の運用が始まれば、困難事例や差別事例解決の斡旋を受け、当事者間の調整、調停を行うのは自立支援協議会なのである。その協議会自身が今すべきことは何なのかについて多くのヒントが示されたと感じる貴重な時間だった。


2018年6月23日土曜日

修正案が可決!「障がいのある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」

 小金井市議会6月定例会開催中の6月21日議会予備日に開かれた厚生文教委員会で「障害のある人もない人も共に学び共に生きる社会を目指す小金井市条例」修正案が全会一致で可決した。
(条例案策定に向けたこれまでの経過は以下のリンクをご参照ください)
https://www.city.koganei.lg.jp/kenkofukuhsi/shogaishafukushi/kaigiroku_shougai/kaishoujyoureikeika.html

 3月議会で議会に上程され、厚生文教委員会に付託されて以降、定例会中に議案が後日送付されたことで議会から「市長の提案姿勢に問題あり」との厳しい意見表明から始まったこの条例だが、当事者に学ぶ勉強会や同様の条例を施行している先進市の視察、委員有志での意見交換など、条例の一致点を探るために重ねた様々な取り組みが修正案に結実し、委員会での全会一致での可決となったものだ。
 条例の原案は小金井市が設置した地域自立支援協議会で、約3年かけて議論し作成してきたものだ。協議会には市内の障がい福祉に関わる事業者や当事者と当事者支援団体、教育委員会、幼稚園や保育園の代表が参加し協議会の事務局は障がい福祉の所管課である自立生活支援課が担当、また小金井市地域自立生活支援センターが協議会の運営支援委託業者として加わり、聴覚障害者に対する情報保障ツール「UDトーク」を活用してきたことも特に記しておきたい。
 当初個人的には、協議会がこれだけの時間をかけて策定した条例原案に対して、市議会が修正をかけるべきではないとの思いを強く持っていた。しかし、条例をより良いものとするために議会が議論を重ねて、担当部局にヒアリングを行った結果、今回の結論に到達できたことは議会にとっても大きな収穫と考えている。
 条例は、順調にいけば25日に予定されている最終本会議で採決され可決する見込みだ。
 障がいを理由とした差別を解消するこの条例の一番のねらいは、当事者が差別と感じた時に「解決のための話し合い」を相手方に申し入れできるようになることと、こうしたことを条例を有する小金井市が主体となって関われるようになることだと思う。さらに理想を言えばこれにより無知による差別や偏見がなくなり、障がいがあってもなくても、子どもも高齢者も共に暮らしやすい地域づくりが可能になるのではないだろうか。
 これまでの議論でこの条例は自立支援協議会でも、議会側でも100%の内容でないことを認めているが、今年10月に施行が予定されている東京都の同様の条例との整合性の検討を含め、条例を運用する中で、この4月に委員が改選された第6期協議会の皆さんにその議論を託したい。
 この条例の施行はゴールではない。新たな障がい者支援のための議論のスタートなのではないだろうか。
 地域自立支援協議会がこの条例の策定を始めたのはよくある市長諮問によるものではなく、協議会の皆さんの自主的な取組が事務局を始めとする行政を動かして実現したものだ。こうした例は他に例がないのではないかと思っている。
 最後まで諦めずに一致点を模索し、シンポジウムの開催や議会への説明を重ねて条例を仕上げた自立支援協議会の皆様には、改めて心から感謝を申し上げたい。

2017年11月26日日曜日

「眠れない子どもたち」 11月19日ケースカンファレンス「この子の困りごとはなんだろう?」⑩ 



11月19日(日)午後は「この子の困りごとはなんだろう?」⑩でした。
学芸大学高橋智研究室、発達にアンバランスのある子どもの親の会「ひまわりママ」、障がい児の父親の会「黄金ネットワーク」、小金井市子育て・子育ち支援ネットワーク協議会の連携による(仮)「小金井市発達支援ネットワーク」が主催する「この子の困りごと・ケースカンファレンス」シリーズも3年目に入りなんと今回が10回目

今回のテーマは「眠り」。不登校の原因は様々あると言われていますが、朝起きられない子どもの困り感を探っていくと睡眠が子どもの生活・育ちに大きな影響を与えていると言われています。今回はそんな子どもたちの困りごとにフォーカスしてみました。
第1部は「子どもの眠りの困りごと」のケース紹介と困難解消のヒントについてのお話をスライドと学芸大学高橋智先生のお話でした。

第2部はケースカンファレンス恒例となりました「車座トーク」。子どもの発達には十分な睡眠が必要でも塾や習い事の負担、LINE等のSNS対応などで子どもの睡眠が削られてしまったり、日中の様々なストレスのフラッシュバックにより眠れない→スマホ依存→脳が覚醒して入眠困難・・・という負のスパイラルが与える影響を考える内容でした。こうした苦しい状況があるため朝起きれず、登校できない・・・不登校の原因の一つとなること。近年注目されている起立性調整障害(OD:Orthostatic Dysregulation)と診断されたお子さんのお話も聞かせていただくことができました
子どもの発達のためにも睡眠の質をしっかり考え、保護者が子どもの不安を受け止め、子どもの個別性と多様性を重視する必要があることを改めて認識することができました。

睡眠をテーマにして一体何人が参加してくれるのやらさっぱり予測ができませんでしたが、スタッフを除き20人近くの参加者があったことも大きな発見でした。今回も高橋研究室の先生と学生の皆さんには様々お手伝いをいただいたことにも改めて感謝です。

2017年8月8日火曜日

障がい者の家族を支える「ケアラーズノート」


 
 小金井市で認知症の介護者家族の支援を行っているNPO法人UPTREE(アップツリー)代表の阿久津美江子さんにお話を伺った。アップツリーでは介護する家族を支えるため、経験者の話を聞くためコミュニティーカフェなどの居場所作りも行っている。高齢者介護をする上で重要な終末期、看取り期を迎える家族が最良の介護のあり方のため、家族の状況を可視化し、できることを家族で共有するための手帳が介護者手帳だ。
 この介護者手帳をお手本に「みかんぐみ」(すぎなみ重度心身障害児親子の会)とUPTREEが特別なケアを必要とする子どもとケアラーのために作成したのが「ケアラーズノート」だ。


認知症家族のための介護者手帳をもとにケアラーズノートを作成したNPO法人アップツリー代表の阿久津さん。
 高齢者介護と同じく子育てはひとりではできない。特にこどもに障がいがある場合はなおさらだ。ケアラーである母親ひとりで全て抱え込まずに、上手に周りを頼るための手帳がケアラーズノートだ。「ケアラーと家族の記録」の2冊1セットで構成されていることが介護者手帳との違いだ。介護者手帳が終末期を見通したものであるのに対し、ケアラーズノートは子どもの成長の記録でもあるため、子どもの未来の支援者に子どもとケアラーが過ごした日々を知ってもらうために「ケアラーと家族の記録」がついている。小金井でもこのような手帳を活用して障がい児保護者=ケアラーのための支援ツールとしての活用を検討すべきではないだろうか。
 

2017年7月12日水曜日

「親は半生、きょうだいは一生」・・京都きょうだい会講演会に参加して

7月2日に大阪で開催された「第2回障害児者のきょうだいセミナー」に行ってきた

 フェイスブックでずっと前から気になって仕方がなかった京都、神戸、伊丹など関西地区のきょうだい会主催のセミナー。前日深夜まで都議会議員選挙だったのだが思いきって参加してきた。
 「きらり」(小金井市児童発達支援センター)の開設が決まるはるか前、当時の就学前障がい児療育施設のピノキオ幼児園の民間委託を諮問した児童福祉審議会委員だった頃、障がい児支援を拡充するなら家族や兄弟の支援が必要ではと言ったのだが、この当時の担当は「障がいの早期発見・早期療育のために家族が障がいの認知と受容するための家族支援はともかく、兄弟の支援?」といった感じだったのだ。しかし当時でもおとなりの国分寺市では療育施設が企画して兄弟姉妹を集めて兄弟姉妹を主役にしたお楽しみイベントを行っていたのだが・・・。
 その後数年が経ち、ピノキオ幼児園を発展的解消し、児童発達支援センター建設のための事業詳細計画検討の市民意見交換会を重ねる中でもあまり議論にはならず、現在家族支援や兄弟支援は行われていない。
 今回の講演会の内容は、自分自身、障がいある次男の「きょうだい」である4歳年上の長男との関わりについて考える大変興味深い内容だった。

 ※きょうだい会では、障がいある兄弟姉妹を持つ人を「きょうだい」または「きょうだい児」と呼んでいる。親や周囲の人がきょうだいを気にかけることを含めた「きょうだい」に着目した支援についての講演会でした。

親ときょうだいは違う


 第1部は同志社大学社会学部福祉学科実習助手の松本理沙さんを講師に迎えた講演会で、松本さんご自身も知的障がいの弟がいる「きょうだい」だった。
 障がいがある兄弟姉妹を持つきょうだいと親の違いについて、親は恋愛、結婚、出産などの人生経験を経て障がいある我が子と出会うことになるが、きょうだいはある日突然自分の兄弟姉妹の障がいと出会う(または判明する)という大きな違いがある。そのためにもきょうだいが経験する様々なできごとについて考えていく必要を痛感する言葉である。

きょうだいは忍耐強く、優等生になろうとする

松本理沙さんのお話

・兄弟に対し親や周囲は「家族」と一括りにし、きょうだいに親と同じ役割を負わせようとしてしまう傾向がある。
・親の態度が自分と障がいある兄弟姉妹と異なる時は兄弟姉妹が怒りや嫉妬の対象になる。
・親に負担をかけまいときょうだい自身が我慢強く優等生になる場合がある。
・障がいがある兄弟姉妹がいるために進学や就職など、進路決定する際にもきょうだいには相当な葛藤がある。
・障がいに関心を持ち、特別支援教育や福祉、医療分野に進路希望する場合がある。
・きょうだいとしての体験から生じる肯定的側面もあるが、きょうだい自身が良かったと思うことと、周囲が「良いこともあったでしょう」ということとは全く意味が違う。きょうだい誰もが障がいがある兄弟姉妹を肯定できるわけではなく、また思わなかったとしてもきょうだいは何も悪くない。
・きょうだいに対し、親が正論(のようなこと)を言われると、きょうだいは自分の本音を言えずにしんどい気持ちを溜め込んでしまう。

親は半生、きょうだいは一生

 このようにきょうだい当事者のお話を聞くと、親や周囲の何気ない言葉や態度が、障がいがある兄弟姉妹のきょうだいに与える影響は、親が考えている以上に大きいことがわかってくる。障がい者の家族の一生を時間軸で捉えると、通常は親が先に亡くなるわけだから、障がいがある兄弟姉妹ときょうだいの関係は、きょうだいが寿命を全うするまで続くこと、これをしっかりと親が考えておくことが兄弟姉妹にとっても重要なことがわかる。
・・・男子二人兄弟で、次男に知的・てんかん障がいがある父親としてはすべてが胸に刺さる言葉である。

「親心の記録」は将来の家族への贈り物

 下の写真は配布された「親心の記録」である。障がいがある我が子に必要な支援を事細かに記録して親亡き後の将来の支援者に伝えるノートだ。主に行政書士、弁護士、税理士の団体「一般社団法人 日本相続知財センターグループ」から寄贈を受け配布しているもので、当日の参加者にも配布されたものだ。こうした備えも将来のきょうだいの負担を軽くするものとして活用を考えていくべきだろう。

きょうだいどうしが、その思いを吐露する場が必要

きょうだい会の作り方

 第2部はテーマ別のグループワーク。今回鈴木は「きょうだい会の作り方」の11人のグループに参加した。
 ファシリテーターは弟が知的障害者のUさん。他の参加者は東京2人(鈴木含む)、広島、岡山、東大阪、香川、立命館大学の中国出身の教授2名など、皆さんがきょうだい支援に興味を持ち遠方から参加していた。
 他のグループには遠く北海道や宮城からの参加者もいて、このテーマへの関心が高さが分かった。

Uさんのお話

 Uさんは京都きょうだい会の中心メンバー。弟さんが入所していた施設きょうだい会に関わり始めたのが1971年(昭和46年)とのこと。(全国きょうだい会の結成は1963年(昭和38年))当時のきょうだいは親や支援者、施設にとっての都合のいいボランティア。親は施設の「いいなり」できょうだいの立場は顧みられることはなく、活動も施設内で完結していた。1983年に育成会(手をつなぐ親の会)と合流して地域での活動が始まったが、会の運営の負担が大きく、会報の発行なども2名だけで行っていた時期があったが、いずれ手が空いて会の活動に戻ってくる人のために活動を続けてきた。最近になり松本さんとの縁もあり、またSNSの活用で若いきょうだいや他の地域との交流が広がってきた。イベントや企画型の活動とは別に、きょうだい支援にはきょうだいが思いを吐露する場が必要、とのお話が強く印象に残った。  参加者は障がい者の兄弟姉妹のきょうだいが6人、鈴木と同じく親が2名。小児がんのサバイバーで小児がんのきょうだい支援を研究する大学院生、といった立場だった。きょうだいの方は会を立ち上げようと考えている方、福祉職に就いている方が多く、第1部の話はまさに現実なのだ。


アフタートーク

 場所を変えての懇親会でも、やはり参加したきょうだいは福祉職についている方が多かった。また障がいがある兄弟姉妹をすでに亡くしている方が複数いらっしゃり、こうした方がきょうだい支援に関わり続けていることも大きな驚きだった。Uさんもその一人だったのだが、ここにきょうだい支援の奥深さがあるような気がする。
 兄弟姉妹の障がいがあることで実に様々な葛藤があったにもかかわらず、高齢(失礼)になっても、当時一緒に活動した仲間が仕事から離れて手が空いた時に戻ってくる場所をなくしてはいけないと思い続け、現在も若いきょうだい会の運営支援に楽しそうに関わっていることも印象的だった。

生涯発達を支援するきらりの使命を見つめ直すタイミングは

振り返って、きらりの業務はこのままでいいのか

 今年10月で開設4年を迎えるきらりの運営は、開設当初の業務委託から指定管理に変わった。相談支援事業の利用者増により、予約から相談までの時間がかかってしまっている現状や、放課後等デイサービスの待機者の問題、就学時の相談支援体制も申し訳ないが現状ではまだ十分とは言えず、小・中学校の通常学級で支援や配慮が必要な児童生徒が増えている現状などもあり、開設当初は想定外だった様々な新たな支援ニーズが明らかになっているように思うし、今回お話を伺ったきょうだい支援もその一つではないかと考えている。
 18歳までの子どもの発達支援を行う施設の使命として、こうしたニーズに今一度向き合い、現在の利用者評価をもとに業務を検証し、ニーズに即した事業の再構築の検討を始める時期がそろそろ近づいているのではないか、きょうだい支援の必要性ということ以外でも、そんなことを考えた今回の視察だった。

2017年3月17日金曜日

「障がい」についてもう一度考えてみる(障がい者が共に生活する社会をつくる市条例制定意見交換会に参加して)

                                 

 障がい者差別解消法が昨年4月1日に施行されて間もなく1年になる昨晩、小金井市の地域自立支援協議会が検討を進めている(仮)「障害者が共に生活する社会をつくる小金井市条例」(市条例)の制定に向けた意見交換会が行われた。
 協議会委員の発議で検討が始まったこの条例は、昨年12月3日の障害者週間イベントの時のシンポジウムで条例の素案が披露され、この場の参加者との意見交換で、市条例制定には当事者意見の反映と市民参加での議論を広げるため意見交換会がさらに必要との意見があり、今回3月11日の日中と昨晩の2回開催されたものだ。参加者は協議会委員の他、当事者や支援機関の職員、障がい者支援に関わる市民がいたように見受けられた。そして自立支援協議会おなじみの「UDトーク」が会議の発言をスクリーンに文字化していた。
 参加者からは、条例に障害という言葉を明記することの是非、主語が「障害者」でいいのか、障がいがない人にとっても暮らしやすい地域づくりを目指す考えかた、昨年夏の津久井やまゆり園の事件を忘れないため、事件に触れるべきではないかなどの意見が出された。
      
 条例本文では、虐待防止のためには条例で虐待を定義し、条例のもう一つの柱にすべきではないのか。学校教育での合理的配慮について、共に学ぶという理念に沿った記述が必要ではないかとの発言もあった。これは学校から児童生徒の付き添いを求められている現状を受けてのものだ。
 こうした意見の他、当事者意見の反映のためアンケートを行い、差別や配慮事例を集めることで、市民や地域への周知を図るべきとの意見も出ていた。この日参加者や協議会委員から出された意見は、新たに「障害者等への総合的な支援等」とする新たな条文を追加してここに包含するとの案も示された。またこの他にも性差別やLGBT差別にも触れるべきとの意見が出されたことも印象的だった。 
 この条例について、以前どなたかが「国が制定した条例がある上で市条例を制定するからには国の条例より踏み込んだ内容にすべきではないのか」と話されたことが強く記憶に刻まれていて、そうした意味からも市民が自由に参加できる意見交換会を開催して条例制定の参考にするプロセスは非常に重要で、今回2回の意見交換会が設定されたことを非常にありがたく感じている。
 私の次男は難治性のてんかんと重度の知的障がいを持っているため、重度重複学級で過ごした特別支援学校高等部卒業後は、就労支援型施設ではなく生活介護サービスを利用している。このムスコが将来自立して地域生活を営むためには、さらに多くの支援が必要になる。そしてもう少し先のことを考えると、この市条例が、親亡き後もムスコのような障がい者が地域でともに暮らしていける「魂」のこもった条例であってほしいと、父親として強く願っている。
 今回の参加者意見を伺って改めて思うのは、「障がい」とは一体何なのかについて、広く意見交換することの大切さだ。これを忘れてはいけないし、当事者の家族としてはこれを伝えていくべきと強く感じたひと時だった。

2017年2月5日日曜日

愛着障がいってなんだろう?


 昨日2月4日、障がい者の父親として自分が参加している(仮)小金井市発達支援ネットワーク主催の講座、この子の困りごとはなんだろう?〜みんなで考える特別支援ケースカンファレンス⑧〜 愛着障がいってなんだろう?を開催した。
 小金井市内で活動している「ひまわりママ」(発達にアンバランスのある子どもの親の会)、黄金ネットワーク(障がい児の父親の会)、わいわい会(小金井市児童発達支援事業ぴのきおの保護者の会)が、東京学芸大学高橋智研究室と小金井市子育て・子育ち支援ネットワーク協議会のご協力を得て、子どものの困りごとを考える取組として繰り返し開催してきた特別支援ケースカンファレンスの8回目の講座だ。
 この取組みには毎回パネリストとして、教育委員会や障がい福祉、保育などの行政担当者にもご出席をいただき、ケースカンファレンスの際に子どもの支援のアドバイスをいただいている。
 今回は愛着障がいをテーマに取り上げた。ネットワークに参加する皆さんと子どもの様々な困りごとについて繰り返し議論し考えるうちに、保護者と子どもの関係に踏み込んで考えてみたく思ったことがきっかけだった。
 基調講演をお願いした児童養護施設を卒所者のアフターケア相談所「ゆずりは」の高橋亜美さんの基調講演のお話で「子どもに必要なのは、寄り添い続け、育み続けてくれる誰かの存在」、これにより子ども自身が「自分を大切に想う気持ち」を持てるようになるのだと。そして愛着とは知らぬ間に育まれていくものだというお話が今回の公演でいただいた宝物だ。
 基調講演の後のパネルディスカッションでは児童養護施設の子どもたちについて、今回パネリストをお願いしたゆずりはの高橋亜美さん、東京サレジオ学園の安藤みさとさんを中心にお話しいただき、子どもの成長に欠かせない「寄り添い続けるもの」の存在について、貴重な現場のお話しを聞くことができた。
 発達に何らかの支援が必要な子どもが適切な支援にたどり着くための道のりは平坦ではない。いかにして子どもの困りごとを適切な支援につなげるべきか、保護者が我が子の状態を受容できるためにできることは何か。行政はこの課題にどう向き合っていくべきなのか、改めて考えさせられる講演会となった。
 

2016年8月26日金曜日

「ノーマライゼーションは障がいのあるなしに関わらず人を幸せにする」 「UDトーク」青木秀仁さんのお話


その名は「UDトーク」

会話をリアルタイムに文字化する

 ずいぶん前の話である。小金井市の障害福祉全般の課題を議論する「地域自立支援協議会」の今年度初めての会議が5月17日に開催された。今年は委員が交代し、協議会の運営支援委託事業者も新たな事業者に交代した。この事業者の提案により、今年度から聴覚障がいの委員さんとのコミュニケーション補助のため会話を文字に変換するアプリケーションソフト「UDトーク」を導入した。
 会議では、各委員の手元に置かれたタブレット端末(IPAD)に接続されたマイクへの発言が前面のスクリーンに文字化して投影され、聴覚障がいの委員さんはスクリーンを見て会話内容を理解する。ただし聴覚障害の委員さんの発言は手話なので、これは手話通訳者が音訳する必要があるのだが、手話通訳者の発言もUDトーク経由でスクリーンに文字化されるため、発言内容の確認ができるわけだ。しかも文字化された発言はすべて記録されるため議事録として活用できるのだという。
 小金井市の障がい福祉について議論する地域自立支援協議会でこのような新しいツールが使われているのを目の当たりにしてうれしくなり、会議のアシスタントとして参加していた開発者のシャムロックレコード株式会社 代表取締役の青木秀仁さんと名刺交換させていただき、先日やっとお話を伺うことができた。

きっかけは中途失聴者との出会い

 青木さんはもともとプログラマーとして音声認識を専門とする会社で働いていた経験があり、ある中途失聴者との出会いがこのアプリ開発の動機になったのだそうだ。青木さんによれば聴覚障がい者のうち、手話を理解できるのは全体のわずか15%なのだという。似たような話は視覚障がいの方に聞いたことがあったが、これは驚きである。
 青木さんが大切にしているのは個人ユース。そのために音声認識技術を青木さんなりにコーディネートして個人に使いやすくしたもので、音声認識エンジンをライセンス使用している。あくまでも個人対個人の使用を基本に考えた聴覚障がい者と私たちの壁を取り払うツールだ。
 アプリをインストールしたスマートフォンに声を吹き込めばすべての発言が文字に変換されるため、例えば、それが会議ならば議事録作成の手間が大幅に削減できるメリットもあり、様々な場面での可能性の大きさを感じるアプリだ。しかも個人が使う分には基本的に無料でダウンロード可能(機能拡張は有料)なところが素晴らしい。
 このアプリは聴覚障がい者に対して、話して伝える側のツールなので、聴覚障がい者からのコミュニケーションは、手話か筆談が必要になる。ただしこのアプリはタッチスクリーンへの手書き入力もできるので、タブレットやスマートフォンでの筆談は可能である。 


認識した音声の翻訳メニュー
マイクへ入れた音声はこのように文字化される

すべての人を幸せにするノーマライゼーション

 導入事例を紹介した記事を見せていただいたが、私立高校でUDトークを導入した聴覚障がい当事者の生徒がいるクラスは、言葉を伝える側の教員が、アプリが認識しやすいようにはっきりとわかりやすく授業を行った結果、そのクラスの学力が伸びたのだという。アプリが認識しやすいということは、他の生徒にとっても理解しやすいわけだ。こうした例とは別に、黒板の文字を認識することが苦手なタイプの学習障がいの子どもたちなどに対する可能性も大きいと思う。また日本語以外に英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、タイ語、ロシア語など22の国と地域語への翻訳が可能。さらに文字化したものはログ(記録)としてメール送信も可能(!!)本当に凄いアプリである。こうした導入事例を参考に、我が小金井市でも窓口への導入を検討してもいいのではないだろうか。 青木さんにとってのノーマライゼーションとは、「障がいのあるなしに関わらず全ての人を幸せにするもの」で、こうした様々な取り組みや考えは学校に限らず今後の社会全体に必要な理念としてあてはめることができるはず、という強い思いが感じられた。
この写真は「はい、チーズ!」とアイフォンに音声認識させてシャッターを切ったもの。向かって左が青木さん。このアプリ「声シャッター」の開発も青木さん。鈴木の右はUDトークの開発に興味を持ち一緒に同行したY氏



 

 
 
  

2016年2月9日火曜日

子どもの「困りごと」は誰が受け止めるのか

本日午前中に開催された、発達にアンバランスのある子どもの親の会「ひまわりママ」主催の公開連続講座「こんな子いるかな?」特別支援ケースカンファレンスに参加した。平日の午前中にもかかわらず会場は満員だった。
自閉症スペクトラム、広汎性発達障がい、学習障がい、またはLDやディスレクシア、ADHD・・・最新の研究から新しい障がいの存在が明らかになってきているが、一番困っているのは子ども自身。その子どもの困っている原因を解明して、当事者となる子どもと保護者が安心して子どもの成長を見守るためのヒントを探る連続した取り組みだ。
講師は黄金ネットワークでもいつも大変お世話になっている東京学芸大学の高橋智教授と高橋研究室門下生で大阪体育大学の田部絢子専任講師。本日のテーマは子どもの身体(カラダ)に注目して発達を考える内容だった。もともと子どもの発達とは全ての機能がバランス良く発達することはなく、発達の速い部分とそうでない部分が混在していて、成長期には発達のアンバランスが子どもに様々な影響を及ぼしているし、子どもの多様性はここから始まるということを前提にしたお話だった。
子どもに様々なプレッシャーがかかる現代は、子どもにとって不自然な環境になってしまっている。子どもが感じる不安と緊張や自分がキライなことを避ける行動が、周囲の誤解・無理解により問題行動とされてしまう子ども自身にとっての不条理、感情を表情に出せない特性から嫌だと表現できない苦しみ、空間認知、情報認知の発達がゆっくりのため授業についていけず状況が分からない不安から教室を歩き回る行動・・・などなど、すべて子ども自身が一番困っていること、ほとんどのケースで成長しカラダが整っていけば困難は解消していく。教室で子どもの居場所を作ってあげるのはいいが、避難場所を作っても担任の教員に対する信頼関係ができないと子どもこれを使わない。子ども自身の不安と緊張を和らげるためには、教員やクラスの友達の中に良き理解者が現れることが子どもの成長を助ける・・・といった内容で、困っている子のケースに当てはまる部分が多い自分にとっても非常に参考になるお話だった。
後半の質疑応答では、教室で困っている子どもの支援について保護者に対し講師のお二人からアドバイスがあった。子どもの行動には必ず理由・原因があるのでこれに向き合わないと困難は解消されないわけだが、保護者自身も子どもの行動が理解できず、時には抑圧してしまう可能性などを考えると、なかなか難しい問題と感じる。

昨年8月からスタートした「子どもの困りごと」シリーズの講座でも、ひまわりママの連続講座にしても同じテーマの講座を繰り返し開催しているが、毎回新らしい参加者が数多く参加するのだ。これを見るとこうした保護者のニーズが行政が提供する支援につながっていないのではと考えてしまう。そして、やっぱり気になるのが小金井市の児童発達支援センターきらりの存在だ。こうした問題で困惑する保護者に対する相談支援がきらりのミッションだと思うからだ。
もちろん、きらりが日々必死で業務にあたっていることは理解しているし、施設利用者の満足度が高いことも分かっている。しかし今回のような現状があるのだ。
本日の保護者とのやりとりを聞いてみて、改めてきらりの相談支援体制の再構築が必要なのではと感じた講座だった。

2015年11月24日火曜日

この子の困りごとはなんだろう?2


11月22日(日)に、「わいわい会」(児童発達支援センターきらりの発達支援事業の通称「ぴのきお」の利用者を中心とした障がい児保護者の集まり)、ひまわりママ(発達にアンバランスのある子どもの親の会)、黄金ネットワーク(障がい児の父親の会)の主に3つのグループが、学芸大学特別ニーズ教育分野の高橋智研究室の支援をいただき、ゆるやかな連帯と協働によって活動している『(仮)こがねい発達支援ネットワーク』の取り組みの2回目となる「ケースカンファレンス②」が行なわれた。


小金井市の車いすユーザの子どもは、都立特別支援学校肢体不自由児対応の学校への就学を勧められる。知的な発達に遅れがない場合も原則は変わらない。
市内の小学校や中学校の通常学級でも、児童になんらかのこだわりがあるなどして個別に支援や配慮が必要な場合には、保護者が付き添いを求められているケースがあるのだ。
保護者がこうした「原則」を超え、例えば兄弟が通う地域の小学校への入学を希望する場合は、就学相談の過程で付き添いを求められることになる。多くの場合はボランティアなどは見つけるこtができずに付き添いは保護者が行っているのが現状だ。
またあまり知られていないが、都立特別支援学校の肢体不自由児対応校であっても痰の吸引や経管栄養の注入など、医療的ケアが必要な場合保護者は学校の控え室で待機することを求められる場合がある。
今回はこの3ケースをモデルに参加者と行政担当者が、ともに対応策について考えるケースカンファレンスを行い、その後、行政担当者も含めた参加者でグループディスカッションし、問題の共有と解決策を探った。
これまでのように、行政担当者に対して集団で保護者ニーズを訴え、制度の拡充を求める「集団交渉型講演会」ではなく、できるだけ冷静に子どもの困り感の現状を伝え、行政とともに解決策を探るこの形は、地域の問題として地域の皆さんとともに解決策考える建設的な議論ができるのではと感じている。

今回のケースカンファレンス②はわいわい会のリード。毎月1回の意見交換を重ね、さらに行政担当者と当事者に対する取材を行って本番に臨んだ皆さんの努力が多くの参加者を会場に集めて問題を共有する機会を作ることになったのではないだろうか。特に今回は医療ケアが必要な重症心身障がいのケースを取り上げたので地元桜町病院のドクターにも参加いただき、医療連携の必要性についてもご意見をいただけたことは手応えのある収穫だった。
以前も感じたが、ケースを紹介し対応を考えていく中でポイントと感じたのが、やはり「きらり」の存在だ。様々に支援や配慮が必要な子どもたちと保護者にとって、小金井市の児童発達支援センター「きらり」が保護者のニーズにどう応えるのか。民間の社会福祉法人に業務委託しているが、公立の施設なのである。業務内容について法人にどのようなオーダーを出していくのか、検討して細部の詰めを行うのは行政の仕事ではないだろうか。こうした点でもまだまだ行政の役割は大きなものがあると感じている。きらりの存在が重要だからこそ、行政が施設に託すテーマをより明確にするべきと感じるし、学校教育と福祉の問題を別々に捉えてよその部署の問題と考えている間はこうした問題の解決は難しいはずだ。
保護者の付き添いの強制の問題についても、きらりが主体となって学校と関わることで、ある程度の共通ルールを作り出すことができると思うのだが、これは甘い幻想だろうか。

来年4月からは障がいを理由とした差別を禁止する条例が施行される。この条例では当事者に対する合理的配慮の提供が行政や事業者の責務とされていることが大きな特徴である。今回取り上げた3つのケースにとっての合理的配慮とは何か。その答えを出す時が近づいている。

自民、公明、こがおもが反対し、全会一致ならず・・障害児短期入所施設の新設と既存施設の支援拡大を求める陳情書

2 月 10 日、厚生文教委員会で「障害児短期入所施設の新設と既存施設の支援拡大を求める陳情書」の採決が行われた。 本陳情は市内の桜町病院併設の障がい児対象ショートステイ事業所が、施設の老朽化と支援員さんの確保が困難で閉鎖されてしまうため、同様の施設新設と増設を求める内容だ。 採...