11月22日(日)に、「わいわい会」(児童発達支援センターきらりの発達支援事業の通称「ぴのきお」の利用者を中心とした障がい児保護者の集まり)、ひまわりママ(発達にアンバランスのある子どもの親の会)、黄金ネットワーク(障がい児の父親の会)の主に3つのグループが、学芸大学特別ニーズ教育分野の高橋智研究室の支援をいただき、ゆるやかな連帯と協働によって活動している『(仮)こがねい発達支援ネットワーク』の取り組みの2回目となる「ケースカンファレンス②」が行なわれた。
小金井市の車いすユーザの子どもは、都立特別支援学校肢体不自由児対応の学校への就学を勧められる。知的な発達に遅れがない場合も原則は変わらない。
市内の小学校や中学校の通常学級でも、児童になんらかのこだわりがあるなどして個別に支援や配慮が必要な場合には、保護者が付き添いを求められているケースがあるのだ。
保護者がこうした「原則」を超え、例えば兄弟が通う地域の小学校への入学を希望する場合は、就学相談の過程で付き添いを求められることになる。多くの場合はボランティアなどは見つけるこtができずに付き添いは保護者が行っているのが現状だ。
またあまり知られていないが、都立特別支援学校の肢体不自由児対応校であっても痰の吸引や経管栄養の注入など、医療的ケアが必要な場合保護者は学校の控え室で待機することを求められる場合がある。
今回はこの3ケースをモデルに参加者と行政担当者が、ともに対応策について考えるケースカンファレンスを行い、その後、行政担当者も含めた参加者でグループディスカッションし、問題の共有と解決策を探った。
これまでのように、行政担当者に対して集団で保護者ニーズを訴え、制度の拡充を求める「集団交渉型講演会」ではなく、できるだけ冷静に子どもの困り感の現状を伝え、行政とともに解決策を探るこの形は、地域の問題として地域の皆さんとともに解決策考える建設的な議論ができるのではと感じている。
今回のケースカンファレンス②はわいわい会のリード。毎月1回の意見交換を重ね、さらに行政担当者と当事者に対する取材を行って本番に臨んだ皆さんの努力が多くの参加者を会場に集めて問題を共有する機会を作ることになったのではないだろうか。特に今回は医療ケアが必要な重症心身障がいのケースを取り上げたので地元桜町病院のドクターにも参加いただき、医療連携の必要性についてもご意見をいただけたことは手応えのある収穫だった。
以前も感じたが、ケースを紹介し対応を考えていく中でポイントと感じたのが、やはり「きらり」の存在だ。様々に支援や配慮が必要な子どもたちと保護者にとって、小金井市の児童発達支援センター「きらり」が保護者のニーズにどう応えるのか。民間の社会福祉法人に業務委託しているが、公立の施設なのである。業務内容について法人にどのようなオーダーを出していくのか、検討して細部の詰めを行うのは行政の仕事ではないだろうか。こうした点でもまだまだ行政の役割は大きなものがあると感じている。きらりの存在が重要だからこそ、行政が施設に託すテーマをより明確にするべきと感じるし、学校教育と福祉の問題を別々に捉えてよその部署の問題と考えている間はこうした問題の解決は難しいはずだ。
保護者の付き添いの強制の問題についても、きらりが主体となって学校と関わることで、ある程度の共通ルールを作り出すことができると思うのだが、これは甘い幻想だろうか。
来年4月からは障がいを理由とした差別を禁止する条例が施行される。この条例では当事者に対する合理的配慮の提供が行政や事業者の責務とされていることが大きな特徴である。今回取り上げた3つのケースにとっての合理的配慮とは何か。その答えを出す時が近づいている。