埼玉県所沢市
議会のマスコットキャラクターは「みみまる」クン
所沢市議会では、専門的知見を得るための学識経験者等に対する調査委託の活用、すべての議案提出資料の統一フォーマット化、質疑の一問一答(一括質疑と選択可能)採用、議案質疑の質問回数(3回)と質問時間制限(1時間)などの改革に取組み、改革の検証方法として、議会基本条例の条項ごとの実施状況と今後の方向性など、議会自身の検証評価を報告書として市議会HPで公表してきた。
検証には予算・決算で使用している事業評価シートの考えを取り入れたものとなっている。その他にも閉会中の文書質問(全会一致しないとできない原則)議員間討議、参考人招致、公聴会と意見提案手続き、政策検討会等の付属機関の設置など、議会基本条例施行後もこうした改革を次々行ってきた。改革の歩み全てが冊子として1冊にまとめられ議会事務局改革のバイブルとして日々活用されていた。
改革の検証は事業評価表でチェック
改革の検証は事業評価表で自己評価し、常に取り組み状況をチェックし「議会評価報告書」で報告している。また議会報告会には参加しない市民意見聴取のためワールドカフェスタイルの市民懇親会を開催し、サイレントマジョリティー市民意見を集約する取組みを行っている。
議会基本条例を制定後、条例を運用する中で自己評価を行い、議会事務局報告会を重ねる中で課題を共有し問題点の改善を行ってきたことは重要なポイントだ。
市議会が自己評価を行い効率的な議事運営のために本会議での質問時間制限を設けている点など、議会が常に市民を意識して改革を進める手法について、小金井市議会が学ぶべき点が非常に多いと感じた。
岩手県久慈市
埼玉県所沢から東北新幹線八戸駅でJR八戸線のディーゼルカーに乗換えて1時間50分で久慈市へ。風光明媚な三陸海岸は「やませ」の霧に包まれていた。 |
「あまちゃん」でも使われた駅前風景だが、商店のシャッターが目についてしまう。「あまちゃんフィーバー」後の復興のゆくえが気がかりだ。がんばれ三陸。 |
「北限の海女」で知られるように水産業の街でもある久慈港。東日本大震災後に防潮堤のかさ上げ工事が行われていた。
条例前文が方言の「じぇじぇじぇ基本条例」
平成23年8月の市議会改選後の議長選挙で所信表明を行い当選した議長の諮問による議会改革検討委員会(各会派代表者で組織)で検討し、同24年12月に議会基本条例の必要性を答申した。その後議長を除く全議員による議会改革推進特別委員会を組織し、答申内容に沿い分科会形式で議論。方言による前文で構成された「じぇじぇじぇ基本条例」素案をまとめ、全体議論とパブリックコメントと経て平成26年3月に条例を制定した。条例制定後に発足した議会改革推進会議のもとで議会改革と検証が行われている。
議長・委員長志願者による所信表明を規定している
議長や委員長の選出過程を明らかにするため本会議で志願者による所信表明を行う事を規定していることが驚きと、久慈市議会の大きな特徴と感じる。
議会改革取組みの議長諮問に「議会改革に継続的に取組む議会」との項目があり、改革のための改革に陥ることがないよう、議会の取組みの先には市民福祉の向上という目的があることを議会改革のスタートとしている。
議会活動の検証のためにPDCAサイクルを回し、議会基本条例運用基準に「議会活動チェックシート様式」を定め、専門的知見を得るためにPDCAシート監修元の早稲田大学マニュフェスト研究所から検証の助言を得ている点は重要だ。PDCAサイクルは単年度で、長期的・短期的課題にかかわらず毎年シートへの落とし込みを行い、シートの所管は議会運営委員会内の改革検証委員会で行っている。
議会報告会の限界は「かだって会議」で乗り越える
市民のための改革という点では、「久慈市に生まれた子どもたちが、久慈市の良さを知らないまま大人になり、進学や就職で外へ出て帰ってこない」とのお話に、地方特有の若年層の流出への危機感が背景にあると感じた。そして岐阜県可児市をならった所沢市議会同様に、議会報告会以外の市民意見の反映の場として「かだって会議」(方言の『語って』からきている)開催を準備していた。議会報告会には毎回決まった人しか来ず、大多数の市民意見の反映ができていないという反省にたって企画されていることは、これから議会報告会を開催する小金井市議会でも参考にすべき取組みではないだろうか。