2016年8月10日水曜日

総務企画委員会行政視察報告


東京〜盛岡間をわずか2時間20分で結ぶ国内最速の時速320キロを誇る「はやぶさ」の登場が今後地方に与える影響が注目される。

  所属する総務企画委員会では7月26日に盛岡市、27日に喜多方市の行政視察を実施した。

岩手県盛岡市「ほほえみと太陽のプロジェクト」

消費者トラブルと多重債務の救済が目的

 市民の多重債務、消費者トラブルの救済を「ほほえみと太陽のプロジェクト」として「多重債務に強いまち盛岡」を目指した取り組みについて視察した。
 人口296,500人の盛岡市では消費者行政の一環として「消費生活センター」を設置し、消費生活相談、法律相談、多重債務問題に取組み、平成元年からは消費者救済資金貸付事業、平成24年からは福島第一原発事故を受け、食品放射能物質検査を始めている。人員体制は十四人で、副主幹1人、主査2人以外、所長を含めた全員が非常勤嘱託職員で、他に計量行政活性化事業を行っている。

税の徴収率向上は部・課の連携と包括的支援で


 税の滞納を減らすため、徴税部門の強化だけでなく、 消費生活相談事業を拡大し、市民を多重債務から救済するため「消費者救済資金貸付制度」を運用していることが大きな特徴だが、多重債務の発生予防のための啓発を小学生から大学を含めた市民に出前講座の形で行い、実際の救済にあたっては弁護士会や警察だけでなく税の滞納の背景にある生活困窮からの救済のため、地域福祉、障害福祉、児童福祉や保健、精神保健福祉、職業安定所、社会福祉協議会など様々な部・課との包括的連携で支援を実現していた。


目的は多重債務者の生活再建

 超税率向上というと通常は直接的に市民部だけが滞納者対応を行うことになるが、盛岡市の場合は市民の生活全般に目を向けて多重債務の背景に迫り、多重債務者の生活再建を目的に行政の連携で包括的に支援し、生活困窮から救済する目的が明確にされた取組みと感じた。


福島県喜多方市 市役所新庁舎建設

庁舎は市民懇話会設置から5年で完成

会津地方のシンボル磐梯山と水田。
 人口は48,800人で平成18年に熱塩加納村、塩川町、山都町、高郷村と合併し新喜多方市となっている。
 昭和33年建設の旧庁舎は、その後の合併による執務スペース不足により、それまでの車庫を執務スペースに転用しき教育委員会を外部に設置するなど市民にとって利用しにくい状況から、平成22年に「新庁舎建設市民懇話会」を設置し建設計画の提言を受けた後、市長を本部長とする「新庁舎建設推進本部」を設置し基本構想、基本計画案を策定し、パブリクコメント、市民説明会を実施し、これらの市民意見を踏まえて平成23年4月に新本庁舎基本構想及び基本計画を策定、その後市民説明会を6会場で実施、同年5月〜11月にプロポーザルにより設計事業者を選定。12月〜3月にプロポーザル案をもとにして市民参加のワークショップ6回開催し、平成24年4月に基本設計終了、5月から翌年3月で実施設計を終え、平成25年7月工事に着工、平成27年8月にすべての工事を完了した。
 議会での議論は平成24年1月〜9月に「市役所庁舎建設特別委員会」を15回開催した。


敷地を最大限有効活用し庁舎移転の負担も軽減した

 建設手法として特徴的なのは 、敷地内の駐車場に新庁舎を建設し、期間中は旧庁舎で業務を継続し新庁舎完成後に移転。旧庁舎を解体後に市民ホール棟を建設したことだろう。
 
左手前が新庁舎で奥が市民ホール。その右に見えるのが既存の保健センター。それぞれは廊下で結ばれている。
庁舎北側に状況。喜多方市の象徴の蔵を残し、敷地形状に合わせた配置にしている。


新庁舎の立面はこのような形になっている。これは4階議会フロアの案内図だが、委員会が同時開催できる構造。

市民参加はワークショップ形式で

 中心市街地にある市役所としては、蔵とラーメンで有名な 観光地として来外者の駐車スペースもある程度確保しておきたいとの思いもあったそうで、こうした事情も勘案しながら喜多方市の人口規模に相応の執務スペースを算出し、市民ホールの会議室も庁舎の会議室として活用することで新庁舎の床面積を削減して敷地の有効利用を図っている。 
 市民参加はワークショップ形式をとり基本構想、基本設計、実施設計と進むプロセスごとに市民参加を募って行ってきた経緯は小金井市でも参考になる点が多い。
 
外光の取り入れ方が秀逸で、美術館の廊下を思わせる雰囲気。


天井はプレキャストコンクリートパネルそのもの。パネルのつなぎ目のスリットに照明を配置、空調や電機などの配線の大部分は床下に。そのため空調吹出し口は床にある。

 設計についても工事期間短縮のために、現場でのコンクリートの打設を減らすためプレキャストコンクリートパネルを採用し、室内も釣り天井ではなくコンクリートパネルや天井配管をむき出しにするなど、過度な装飾的要素を排したデザインにしている。しかし、東北の寒冷な気候に対応するための複層ガラスや、豊富な地下水を利用した冷房や屋上の太陽光パネルで環境負荷を低減し、エネルギー効率を高めている点も見逃せないポイントとして特に記しておきたい。

市民要望を受け止めた市議会


 庁舎建設について市議会は特別委員会を設置して9ヶ月間で15回開催した経過を参考にすべきではないだろうか。町村合併を経て、市役所機能の効率化と庁舎のバリアフリー化に対する市民要望の高まりと、東日本大震災以来防災拠点として、震災の復興拠点としての庁舎の重要性を市民の視点で勘案すれば、小金井市でも一刻も早く新庁舎の建設が望まれるように思えた。
地下の様子。庁舎は免震構造で、ここに組み上げた地下水を循環させ冷房に使用する使用後の地下水は庁舎内のトイレ用に再使用している。







生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...