2013年11月17日日曜日

総務企画委員会行政視察(パート1)

 所属する総務企画委員会では、11月14日兵庫県神戸市、翌15日三重県松阪市への行政視察を行いました。
 市議会の行政視察では、市職員と同様の交通機関の効率的な利用ルールがあります。例えば東海道新幹線利用には「のぞみ」には乗れません。いつも移動は「ひかり」です。のぞみの利用に別に料金がかかることが理由です。ただ、利用をひかりに限定すると、他交通機関との接続がうまくいかない場合があったりして、そのたびに「効率」について考えてしまいます。別に乗車する新幹線が最新型でなくてもいいのですが、のぞみに使われている車両には窓側にコンセントがあってありがたいのですが。
途中、めずらしく富士山をのぞむことが出来ました。世界遺産が雲の上に頭を突き出しています。
昼食は車内で駅弁。新神戸→三宮と地下鉄で素早く移動して13時前に市役所着
担当者に説明を伺います。学者のような雰囲気の方で、丁寧にご説明いただきました。
  人口154万4,200人、面積552.26㎢。 神戸市の視察テーマは、神戸市が行っている産業連関表について。産業連関表とは一定の期間に、一定の地域(この場合神戸市内)で生じたすべての生産物に係る産業相互間、産業・最終消費者間の取引関係を表した一覧表で、各産業における生産物の費用構成と販路構成を表すもの。この表は5年ごとに作成され、政令指定都市では11市が作成しています産業連関表の作成は5年ごとに行い、大まかに言えば 神戸市内でどのようなものが生産され、そのものを生産するために必要な各産業の原材料の投入割合を示した係数と、経済波及効果と財政効果はどのようなものなのかを明らかにするための一覧表です。
庁舎25階から見たポートアイランド。東(左手)側が港湾、西(右手)が医療産業関連企業施設ゾーンになっています。
 阪神淡路大震災の復興とともに、ポートアイランドで新たな施策として推進している医療産業都市構想により、医療技術の最先端企業を誘致し、周辺産業を含め市内の医療水準の向上と経済の活性化に取り組んでいますが、この経済的効果も連関表によって、雇用送出数なども数字として表せるものになります。こうして市内での様々な波及効果の分析が可能になり、神戸市が推進する施策の経済的効果を評価する際の数値として活用できるわけです。他市では専門機関に調査委託をしている例が多いということですが、神戸市ではこれらの調査は統計を担当する職員が直接行っています。神戸市が行政機関として調査、分析を直接行うことで、そのノウハウも含めた積み重ねを重視しているように感じました。
神戸市役所での視察終了が15時。三宮駅発15時23分発の電車で神戸市を後にします。関西のエスカレーターは、こうして右側に立つのですね。関東方式との境目がどの辺なのか調べたら面白そう、などと思いながら移動します。
神戸から大阪を経由して三重県松阪市へ。フツーの通勤電車で約2時間。近鉄で移動です。関西はJRと私鉄のサービス競争が激しく、どの路線でも競合しているため、車内設備は充実しているように思います。当たり前ですが車内はすべてネイティブ。夕方のこの時間は帰宅する学生さんたちの大阪弁で一杯。関西にいる事を実感できました。
翌15日は松阪市役所へ。全国最年少市長(現在37歳)が2期目を努める人口16万人の自治体。入口には借金時計。刻々と金額が減っていきます。これも市長公約のひとつです。
 人口16万8千人、面積は623.7㎢。2005(平成17年)に周辺4町を合併し、現在の規模になった松阪(まつさか)市では、シンポジウムシステムについて、お話を伺いました。2009(平成21年)より就任した現市長のマニュフェストのひとつ、「市民の声吸収チーム設立」で、これが現在の「シンポジウムシステム」となったものです。市民生活に大きな影響を与える重要な政策の決定前に、住民や地域の声を直接聞く意見聴取会の開催やワークショップを行い、市民の声を政策に生かす取り組みとして行われています。行政が政策や方針の決定の前に市民と協議するということがシンポジウムシステムの大きな特徴です。初年度2009(平成21年)454件、22年度313件、23年度565件と、件数だけみても精力的な取り組みです。また、「このまちミーティング」を開催して、市内各地域に市長が出向いて直接市民と話し合う取り組みをしています。「市民の当たり前の幸せを守るため、行政は税の使い方に責任を果たす一方で、市民も自分たちが住む地域の自治や公共に対し役割と責任をもってもらいたい」という市長の意思によりこれらの取り組みが行われています。

 松阪市では、各種審議会でも答申の提出前に委員自らが準備を担当して市民との意見聴取会を開催し、決定する前の答申案を市民に示し、プレゼンテーションします。その結果、得られたものを最終的に答申に反映させる取り組みが始まったそうです。ここでは立場が違う市民同士が議論するわけで、行政が提案した施策の意見聴取に集まった市民が、行政担当者に詰め寄る光景は少なくなるかもしれません。

市役所庁舎は耐震補強工事済み。建物正面の鉄骨の補強材が印象的です。
 東日本大震災以降、市役所庁舎の耐震性が問題になり、補強か、建て替えかについて意見聴取会を実施した結果、耐震補強に決定。予算は当初市が予定していた33.3億円から、プロポーザル方式の耐震補強工事を採用した結果、約4億円で工事出来たということです。このように行政内部だけで方針を決めるのではなく、企画立案の段階から方針を市民に示し意見を求めていくという考え方と姿勢に強く心引かれました。ただ、松阪市長自らの強い意志で、市民との対話と協議に取り組んでいるため、住民から見て、議決機関である市議会や市議会議員の存在が、どのように見えているのかが気になります。また、市長と地域が作り上げた合意事項を市議会が否決する可能性もある訳で、こうした時、市議会議員と地域住民との関係はどのように変化していくのか。興味あるところです。
議会改革にも取り組んでいる松阪市。すでに議会基本条例が制定されています。
今回の視察先は、神戸、松阪とどちらも牛が特産品。行政視察では縁がありませんが。地方を訪れると、そこが地域の特産品を大切に守り、育てている事がよくわかります。松阪は山間部でのお茶の生産も盛ん。知りませんでしたが三重県はお茶の生産量が静岡県などに次いで全国3位だそうです。松阪市長自身が営業部長として自ら先頭に立ち、特産品を全国にアピールしているそうです。
 今回の視察で訪問した神戸市、松阪市ともに自治体がそれぞれの独自性を大切にしつつ、その場所特有の課題・問題に対応していたように感じました。神戸市では、阪神淡路大震災の大きな損失から立ち直る過程で、新たな取り組みとして先端医療産業を周辺の技術とともに市内に誘致し、経済効果と市民の健康・医療の向上を目指していました。松阪市では新しく就任した市長の公約により、市の施策立案に対する住民合意の新たな形を生み出していました。各種審議会が答申の提出前に審議会主催の協議会を開催し、市民と意見交換する取り組みにも学ぶものは多いと感じました。小金井市でも今後は市民協働が拡大する過程で、市民同士の対話と協調が必要になるはずで、今回視察した松阪市の一歩進んだ市民協働のあり方は大いに参考になると感じました。
帰路は松阪から名古屋へ。所要時間は1時間30分。もちろんビスタカーなどは利用しません。料金不要の急行で移動します。
帰りの新幹線までの待ち時間は約30分。名古屋の空気に触れたくて駅前広場に出てみました。西口から見た東口のタワーが圧巻。タワーの隣りでも新たなビルの建設が始まっています。元気な名古屋の象徴です。
雨上がりの東海地方を東へ。富士山は中腹だけが見えている不思議な景色。上部の冠雪が昨日より増えた?

生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...