1月21日、22日。福島県南相馬市と福島第2原子力発電所の視察をしてきました。福島第2原子力発電所の所内の視察の許可が出るとは思っていなかっただけに意外でした。原発に至るまでの往復では、帰還困難区域内にも入ることになり、現地までのバスの車中からは、3年前から時間が止まってしまったような街の様子を見ることができました。
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宿泊した原ノ町駅前にあるステキな建物は図書館。3年前の震災以来、JRは南側の東京方面(いわき市方面)が20キロ圏内の帰還困難地域を通るため。北側の仙台方面は、相馬までの3駅間が運転していますが、以北は不通のまま。町中は一見平静に見えますが、交通手段は極めて限定されたもので、公共交通機関は福島駅から1時間。雪景色の峠を越えるバス路線のみとなっています。 |
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今回視察した地域周辺図。南相馬市の原ノ町駅前に宿泊。その後原発にむけて国道6号線を南下。原発視察後は富岡町から郡山市へ抜けました。(福島県ホームページより) |
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宿泊した南相馬駅で参加者の皆さんとともに。 |
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南相馬市を出発し国道を南下すると、ご覧のような検問所でチェックを受けます。携帯で様子を撮影しようとすると、警官から身分証明書の提示を求められました。テロ対策のため検問所の詳細はあまり知られたくないという理由があるようです。24時間体制での警備です。 |
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検問所を過ぎると道路沿いには被害を受けた家屋がそのまま残されていますが、周辺では除染作業が行われていました。 |
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原発に向かう国道から集落への入口には、すべてゲートと検問所があり、人の立ち入りは厳しく制限されていました。 |
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南相馬市から第2原発までの行程で、第1原発がある双葉、大熊、富岡町を通過します。当然ですが、原発近くではバスの中でも線量計の数値は上昇します。 |
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発電所に到着するとビジターセンターで事前説明です。第2原発敷地内は撮影禁止でした。所内の画像は、すべて東京電力の現地職員の撮影です。津波が到達し冷却用電源を喪失した後、非常用ディーゼル発電機を復旧し、最悪の事態を脱するまでの状況をパワーポイントを使い詳細に説明されました。 |
この後は実際に3号機原子炉建屋から順に内部の視察となります。原子炉建屋内に入るためには、専用のツナギに着替え、線量計を持っての行動です。眼鏡使用者にはストラップ、女性はイヤリングやピアスも外すよう求められますが、これは、不意の落下を防止するためだそうです。ストッキングも静電気を帯びて汚染物質が付着する恐れがあるので、木綿の靴下に履き替えです。
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原子炉建屋6階の使用済み燃料プール。常に冷却水が循環しています。 |
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原子炉格納容器の中、原子炉直下の制御棒を動かす場所です。 |
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1号機海水熱交換器建屋内の様子。指を指している投光器のランプの中には海水が残ったままです。 |
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上の画像を角度を変えて見ると壁には浸水した海水の跡がハッキリと残されていました。津波で運ばれた海水は土砂まじりなのでこのように跡が残るという説明でした。 |
この後使用済み核燃料プール、原子炉格納容器内、非常用ディーゼル発電機、海水熱交換器建屋の順に視察。各所に津波到達時の水位が示され、土砂流入の痕も生々しく残るなかを視察しました。原子炉建屋内での線量は合計でも0.2ミリSv。建屋内は厳重な管理が徹底されていました。
その後再びビジターセンターに戻り質疑応答。この原発では現在2,300人が働き、うち60名が女性ということに驚きました。それだけ線量が低くコントロールされているということなのでしょうが、いろいろと考えさせられる視察になりました。
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第2原発視察後は、帰還困難地域に指定地域に入りました。JR常磐線富岡駅前に入り街の様子を視察、3・11のまま、時が止まったような息をのむ光景です。崩れたガレキ、津波に運ばれた自動車、津波が流れ込んだ駅前の食堂には、ご飯がこびりついたランチジャーが転がり、脇には家族写真のアルバムが・・・。 |
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富岡駅の様子。この場所が駅舎だと、しばらく気づけませんでした。ちょうど正面が改札口のあった場所です。ホーム上屋の向こうには水平線が望めます。 |
帰還困難地域、居住制限地域とも、ご覧のように非常に厳しい状況です。マスコミ報道で分かっていたとはいえ、自分で現地に入り目の当たりにすると大きなショックを受けました。この場所を含め、震災は今でも続いています。前日の南相馬市では、震災前7万1千人の人口が、4万6千人に減少したまま。特に若い世代の家族が戻っていないことに胸を突かれる思いです。周辺地域の除染も、賠償問題も進展せず、いつしか勤労意欲までも奪われた生活を余儀なくされ、市内に戻った市民に夢や希望が持てる状況には、残念ながらほど遠いという現地の方のお話が強く印象に残りました。
(非常に強烈な体験だったため、気持ちの整理がうまく出来ないまま時間が過ぎ、報告が遅れてしまいました)