平成26年 議会運営委員会行政視察報告

議会運営委員会で行った今年度の行政視察は、7月16日〜17日にかけて長野県大町市と新潟県上越市を訪問しました。両市ともすでに議会基本条例を策定済みで、条例を運用の実際を調査するのが目的です。

昼食は途中の諏訪サービスエリアで。いただいたのは松本のソウルフード「山賊焼き定食」。甲府の鳥モツ煮がメニューから消えていたのが気になりましたが・・・。下味をつけた鳥の唐揚げをメインにしたものです。まちの食堂へ行くともっと素晴らしいボリュームでいただけます。
 今回の視察は、大町市から上越市への移動に時間がかかるため、全行程が貸切バスの移動です。緑まぶしい中央道から長野道を経由して大町市へ。視察後は長野オリンピック歳々時に整備された通称オリンピック道路から国道19号線、上信越高速道経由で新潟県上越市へ移動し、JR信越線高田駅近くに宿泊、翌日上越市役所を訪問し、お話を伺いました。

          

  
大町市の名物で自慢の豊富な湧水を使ったミネラルウォーター。こうした視察の場面で、さりげなく宣伝することに地元への愛着が伝わってきます。
(長野県大町市)
視察テーマ:議会基本条例について(制定後の状況をおりまぜて)    
 大町市は長野県北西部に位置し、人口約29,000人。市議会議員定数は現在18名だが、議員定数の見直しにより、来春の議会選挙から定数2名減の16名となる。標高は700メートル、市の西部は北アルプスを有し、黒部アルペンルートの出発地で、仁科3湖や豊富な湧水と温泉に恵まれた山岳観光都市
13時30分からおおよそ2時間、議長と議会運営委員長、議会事務局長からお話を伺いました。 冒頭に議長のご挨拶をいただいたわけですが、平成18年の八坂、美麻村編入合併当時の人口32,000人が、現在29,000人ということで、人口減少が大きな課題ということです。標高が高いため、年に数回は最低気温マイナス15度を下回ることもあるそうです。
 市内には昭和電工と東洋紡の工場がありましたが、東洋紡大町工場が1999年12月に閉鎖となり、新たに豊富な地下水を利用するミネラルウォーターメーカー2社が参入していますが、いまだ広大な空き地が広がっている光景を見ると、事業所の誘致と跡地の有効利用が今後の問題だと感じました。
 議会基本条例制定は2010年(平成22)10月。
 大町市議会基本条例の大きな特色は・・・
1.開催が義務化された意見交換会(第13条)「市民からの要望があった時はこれに応じるものとする」とし、少なくとも年1回としていること。
2.市民意見の受け皿として設置された「政策調整委員会」(第20条)。
3.条例の目的が達成されているかどうかについて、常に検証し、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする」と、検証及び見直しを定義していること。(第24条)
4.災害時の対応として、災害対策本部が設置された際の支援と迅速な対応を定義していることで(第6条)、議会基本条例とは別に「大町市議会災害対策支援本部行動指針」を制定していること。・・・以上の4点と感じました。

 議会基本条例制定後の市民の反応はそれほど大きくないとのことでしたが、中牧議運委員長のお話では、参加人数が少ないことはあまり気にしていないということ。「参加者数の問題ではなく、議会が最高規範を設置して自らを律することを目的にしているから」とのお話がとても印象的でした。議会報告会ではなく、意見交換会とした理由については、「住民の意見を聞くことを重視し、議会が住民に説明する形の一方通行にしたくなかった」ことが理由。政策調整委員会の開催実績は、これまではなかったが、現在検討中の乾杯条例の検討が行われている最中です。大町市には特産のひとつである酒蔵があり、地域振興策として地元の銘酒での乾杯を推奨していこうという趣旨の条例です。
 意見交換会参加者増の工夫については、市民団体の要望があれば開催し、説明資料は議会だよりと決算資料だが、市民の意見を引き出す難しさと、議題に対する議員個人に対する質問への対応の難しさを課題としています。参加者数は平均で1カ所あたり20人。少ない時は4・5人の時もあり、若年層の参加が少ないとのお話。ただ、議員定数削減の取り組みは、意見交換会で出された意見が発端になっているとのことでした。報告のルールは、議員個人のアピールはしないこと、回答の責任者を決めておき、議会だよりをもとに説明するとのこと。政策調整委員会は地方自治法100条12(協議又は調整を行うための場)として規定されています。
 わたくしが、特に注目した災害対策本部行動指針を設置した理由については、東日本大震災での大きな混乱を教訓に情報が少なく、混乱する状況での行動指針が必要と考え、最悪の状況での混乱を回避するため、また、力が大きい、発言力が大きい議員に、行政と議会が振り回されることを防止し、議会がチームとして動くために制定したとのことでした。大町市は、日本列島を地質学的に東西に分ける大断層の「中央構造線」(フォッサマグナ)に貫かれた自治体であり、地震の発生確立が高いこともその理由としていました。行政とともに議会が、最悪の状況を想定した備えをしていることが印象に残りました。小金井市でも今後は検討が求められるテーマと感じました。

(新潟県上越市)
視察テーマ:議会改革(政策形成会議・課題調整会議) 新潟県南西部の上越地方の中心都市として、2005年(平成17)に旧高田市と直江津市を中心にした14市町村を合併して生まれた中核都市で人口は20万人。市議会議員定数は32名。議会基本条例制定の経緯は、平成21年5月に「議会基本条例策定検討委員会」を設置し、翌平成22年11月の臨時会に上程、可決されています。





宿泊した高田地区は、三層の櫓が特徴の高田城を中心に栄えたまちです。おりからハスの花が見頃で、それは見事なものでした。早朝散策した旧市街には60を超える寺院の寺町、雪国ならではの「雁木」と「町家」の町並みが残る情緒豊かなまちでした。
市役所庁舎に隣接するJR信越線春日山駅。春日山城址は上杉謙信ゆかりの地でもあります。駅は庁舎に隣接していながら乗降口は反対側のみ。市役所利用者の徒歩利用は重視しせず、自家用車利用中心の地方都市を象徴する光景です。庁舎の駐車場も広大で、職員も利用者も自家用車利用が原則の作りでした。合併の中心となった高田と直江津の中間に新庁舎を設置したこともあるかも知れませんが。状況は小金井市とは違います。
市議会の委員会室を見せていただきました。重厚な雰囲気が漂います。
市内幹線道路沿いの空き店舗を活用したと思われる病児・病後児保育室。資料によれば認可保育所定員は5,269人。ちなみに待機児童数はゼロです。
 大町市もそうですが、地域がおかれた状況は小金井市とは大きく異なっています。当然ですが。両市とも近隣市長村と合併しています。議会基本条例制定の動機も合併と無関係ではないと感じました。合併し、議員定数が大幅に削減され、地域の独自性が薄まると、地域が新しいルールを求めるのではないでしょうか。ここが小金井市とは大きく異なるポイントです。

 上越市の議会基本条例の大きな特長は以下の5点。
1.情報共有と公開(第7条)
2.市民参画と協働(第8条)
3.議会報告会(第9条)
4.委員会での自由討議(第16条)
5.質疑の1問1答と市長の反問権
 
 議会報告会と意見交換会両方を実施していることも特長です。3月議会(予算)の報告を5月に行い、9月(決算)議会報告を11月に開催します。議会報告会と同時開催の場合と意見交換会のみ単独開催の場合があります。市内を28地区に分割し、2年間ですべての地域で開催しています。意見交換会は平成25年度の検証による見直しにより、意見交換会を3回増の年14回。議会報告会は2回増の年8回開催としています。
 議会改革の取り組み自体は、会議の公開など、基本条例制定前から議会報告会や意見交換会以外はかなり行われていました。議会の活動を市民に広く知らせる取り組みとして、議会だよりのオールカラー化を行い、現在は議会だよりの愛称を募集中でした。市民の意見を市議会で受け止めるために設置した議会ポストは、議会に対する意見・要望、会派や議員個人に対する意見等を受け付けるもので、議会として主体的なもののみ回答し、議長判断での対応、会派・議員個人が対応、各派代表者会議で協議、全員協議会で対応を協議するものの4つに分類して対応し、回答は個人情報以外を議会だより、ホームページで公表しています。
 基本条例制定後の市民の反応としては、条例自体が市民に十分に知れわたったとは言えず、関心のない市民へのアプローチが課題で、条例制定後4年ごとに検証と見直しを行うとしています。広報広聴委員会の設置(第10条)は、地方自治法100条12項に基ずく協議又は調整を行うための場としていて、委員長が招集者です。
 付属機関の設置(第21条)は、現在、各地で社会問題となっている市内の中山間地域の空き家対策を検討するために設置したのが、上越市では始めての取り組みになるということです。その他の特長としては、地方自治法100条12項の「協議又は調整を行うための場」として、全員協議会、各派代表者会議、広報広聴委員会、課題調整会議、政策形成会議、各常任委員協議会、各特別委員協議会、議員懇談会を市議会会議規則で具体的に定め、当然これらの会議は原則公開(会議記録は要点筆記)していることも大きな特長です。
 ・・・今回、2市を視察して感じるのは、人口減少や高齢化、中心市街地の空洞化、特に中山間地の限界集落対策など、先延ばしの許されない様々な地方都市の持つ課題と向き合い、平成の大合併を経験した地方都市の議会に対する市民の期待の高さと、期待に応えようと努力する議会の取り組みの結果が、議会改革のシンボルとなった議会基本条例の制定に向かわせたと感じます。自治体や地方議会の持つ課題はそれぞれで、地方分権と住民自治の原則。2元代表制をとる地方議会において、強大な市長の権限に対抗する市民の代表者である市議会のあり方として、小金井市議会は、小金井市独自の答えを探すことが重要と感じます。議会基本条例にも小金井独自の姿勢と特色を備えた「コガネイスタイル」が求められていると強く思わせる今回の視察でした。







このブログの人気の投稿

都立青峰学園 私たちは、パン屋さんを育てているのではなく、パンを作る「人」を育てています。

4割が介護保険から卒業する和光市の地域包括ケアシステム

みどりの子ども館