2014年11月17日月曜日

「大人はご機嫌でいる責務がある」

 昨日16日は、第28回こがねいパレット(小金井市男女参画推進事業)が公民館本館で開催されました。市と市民が共に行う男女共同参画推進のために市民公募の実行委員会方式で委員を募り、企画と実行をしています。
 こがねいパレットとの縁は、以前障がいをテーマに取り上げた年に、私が関わっている障がい児の父親の会が、「父親の会」?ということで、企画実行委員の目に留まり、参加しないかと声をかけていただき、以来数年間、私たちのメンバーが企画実行委員に名前を連ねお手伝いをしていました。当時は、会場設営のための展示用の大きなパネルを運び、組み立てる作業すべて企画実行委員の高齢の男性・女性たちだけで行っていたことを知り、設営のお手伝いをしていたことを思い出します。
 今年のテーマは「ゆる家事」。第1部講演会講師に浅倉ユキさんをお招きした講演会、第2部は、野菜を使った「ゆるベジ料理」の講演ということでしたが、時間の都合で第1部だけの参加でしたが、とてもいいお話でした。
 家事労働の大変さ、家事労働に対する評価の低さ、日本の主婦の家事労働時間の長さは、お隣り韓国についで 長い4.22時間だということ。日本人の真面目さ、靴を脱いで生活する 国ゆえにキレイにしなければという観念が大きく影響するとはいえ、主婦はこうあるべしという呪縛から解放されてもいいのではないかという思いから「ゆる家事」を提唱。もちろん日本では、男性が仕事に束縛されている時間が異常に多く、パートナーの家事分担が出来にくいといった事情はあるにしろ、お母さんがご機嫌でいることが一番大事。そのためにもう少し「楽をする工夫」をしませんかというお話です。「頑張ったハイスコアな自分ではなく、いつもの残念な自分を標準にする」、「ご機嫌なつもりではなく、本当にご機嫌になる」。そのためにハッピーな自分を想像することで、自分自身がご機嫌になる方法がわかりますよ、というのです。具体的には、掃除機かけが苦手という人には、掃除機かけの何がイヤなのか、イヤなポイントを掴んでそこをひっくり返す・・つまり掃除機かけのコードが伸びきって、近くのコンセントにプラグを差し替えることがイヤならば、掃除機をコードレスにかえてみる・・すなわちこれがゴールというわけなんです。「何が足らないから、それをしないのか」を突き詰めることによってポイントを見つけて、それをひっくり返す・・・これがゆる家事の基本なんだそうです。その結果、お母さんがハッピーになって、それを見ている家族もハッピーになるしあわせの連鎖が生まれるということですね。浅倉さんの「大人はご機嫌でいる責務がある」という最後の言葉が、とても暖かく心に残りました。いやー、とてもいいお話でした。ワタクシ自身、頑張らずに、自分の使った食器ぐらいは自分で洗う、びしょ濡れの洗面台は自分で拭き取る・・・ようにしなければ、と強く思ったのであります。

2014年10月30日木曜日

住民投票条例について(市議会臨時会のご報告)

フェスティバルコートより望んだ再開発予定地。私たち市議会は、低未利用地が駅前に 残されている理由についてもしっかりと検証し、この地域にある可能性と市民が享受できる利益について、今後も考えていく必要があると考えています。

 議案第63号 武蔵小金井駅南口第2地区市街地再開発事業係る都市計画案及び、市費の支出への賛否を問う住民投票条例案は、10月6日に招集された市議会臨時会で審査され、当初10月14日までの予定を29日まで延長し、最終日のこの日も議論が深夜にまで及び、議決は翌日30日の未明、午前1時過ぎに採決となり、本議案は反対多数で否決されました。
 私の所属する会派、小金井市議会民主党所属の鈴木しげおは、岸田正義市議とともに本条例提案には反対しました。その理由について、ここで述べておきたいと思います。
 本事業は昭和40年代から、地元市民の皆さんを中心に協議され、当初は南口第1地区・第2地区一体で検討されたものでしたが、財政の平準化のために時期をずらし、第1地区を先行して整備した経過があります。

第1地区の現状は、皆さんすでにご存じのとおりで、特に小金井市の「坂下」と言われる南部地域の市民にとって、路線バスやココバス、タクシーなどの公共交通が、駅前の交通広場に直接乗り入れ、向上した利便性とバリアフリー化は、高齢化が進む小金井市に大きな利益をもたらしていることは周知の事実です。この事業は、第1地区のみならず、第2地区地権者の皆さんの多大なご協力のもとで実現しました。
今後、残された第2地区の再開発で、新たな住民のコミュニティが誕生することで、駅南側の地域コミュニティ再生のモデルになる可能性を期待しています。
また、費用便益の検討についても、区域内だけでなく、区域外にも大きな効果が予測され、投資した補助金は、比較的短期間で回収できる見込みとの市の考えも示されています。厳しい財政状況が続く小金井市だからこそ、このままではいけません。
今こそ計画的都市基盤整備を進め、街の魅力や価値を向上させることが必要です。現在の第2地区は、駅前の好立地にも関わらず、低未利用地がほとんどで、木造家屋が多く、昭和56年以前の旧耐震建築物が約6割との調査があります。狭隘道路も多く、緊急車両の通行と、火災などの災害発生時に、消防車両の消火栓などへの水利部署が著しく困難な、防災上の課題が大きい地区となっています。このような課題が多く残っている原因の一つが、都市計画決定の遅れであることを、私たちは十分に考慮し、早急に整備に取り掛かるべきです。
この事業は、地元地権者の皆さんが、駅前に立地する地区としてのあり方について検討し、小金井市民全体の利益に資する事業として行うものです。権利者の皆さんが、自らの権利を新たな建物に変換し、全体の事業費ねん出のために保留床の売却を行う事業です。つまり地権者の皆さんが、自らの資産を公共性・公益性に照らして都市計画を変更し、資産活用するという当然の権利に基づいて行われる事業です。
私たちは、市民が施策について市民の意思を明らかにするための住民投票の権利は尊重する立場です。そして、小金井市では市民参加の手続きのひとつとして市民参加条例第16条において市民投票制度を設けています。これは、議員提案によって全会一致で可決し設置した小金井市のルールです。
しかしながら、本条例案は地方自治法第74条に根拠を置くものであり、あえて市のルールである市民参加条例の市民投票制度ではなく直接請求を用いたことは、私たち市議会に、その判断が委ねられたと受け止めています。よって、この問題は住民投票ではなく、市民代表である市議会が判断し、将来への責任を果たすべきです。
本事業の施工者である準備組合には、景観・ビル風・日影・電波障害・地下水など、周辺環境への影響調査の検討と、配慮の考え方を、周辺および市民に広く告知し、ていねいな説明を行っていただくことを改めて要望します。

2014年10月22日水曜日

つづけるということ

 今日は、小金井市障がい者福祉センター開設21周年キャンペーンのおまつりに参加しました。いえいえ、お客様としてではありません。特別支援学校を卒業したムスコが、4月から生活介護の利用者となり、保護者のひとりとして少しばかりのお手伝いをさせていただいたという訳です。
 天気はあいにくの雨。しかし、日頃から何かとお世話になっているJAむさしの「グリーンクラブ」に出店していただき、地元小金井産の野菜の販売です。この日のメンバーは日頃良く知る顔なじみもいたりして、何か嬉しい気持ちです。
 豚汁、フランクフルト、焼き鳥に焼きそば。模擬店の定番がそろい準備は万端。

雨が降り少し肌寒い天気だったので豚汁のおいしいこと。
おまつりは毎年1回、当然ですが21年の歴史があります。
センターは当初から指定管理で事業を受託しています。利用者の側としても様々な要望を施設に伝え、事業を継続する中で成長を重ねてきたものです。
 受託している社会福祉法人も、常にこれに応えて来たわけで、障がい者の日中の居場所としてだけでなく、今年10周年をむかえる障がい者自立生活支援センター機能を加えながら、様々に支援が必要な方々を支えています。地域にとって常に必要な切実な必要=ニーズの受け皿として、つづけていくことの大切さとありがたさを、今年からはひとりの利用者保護者として実感しています。
 お手伝いをさせていただきながら、たくさんの利用者の姿(含むムスコ)や、保護者の皆さんのお話を伺うことが出来ました。子どもが障がい者なわけですから、それぞれ、ひとりひとり異なる困難に向き合っています。それ以上に親の介護、ご自身の高齢化・・・常に悩みは尽きないのですね・・・。地域や行政はこうした思いにどれだけ迫れているのでしょう。まだまだ取り組むべきことがらは多くあると感じました。人ごとではなく、障がい者の親である自分自身も、しっかりとこの問題に取り組まなければなりません。多くの方との会話から、多くの気づきをいただいた一日となりました。ありがとうございました。

2014年10月6日月曜日

雨の総合防災訓練


         

 台風18号が接近する雨の日曜日の10月5日、市立第2小学校を会場に市の総合防災訓練が行われました。私は地元自主防災会役員の皆様とともに参加しました。
 これまでは8月最終日曜日に行われていた訓練ですが、残暑厳しい中の訓練を一旦見直し、涼しくなった10月に時期を移して、始めて行う訓練となりました。今回の訓練では当初より雨天でも中止せず、雨天時の訓練メニューを設定して行ったことが最大の特徴でした。時には激しい雨が打ち付ける中で、雨具を着て屋外での作業にあたった消防団や消防署、行政担当者の皆さんには過酷な訓練となりました。皆さんの活動には本当に頭が下がります。大変お疲れ様でした。

        

 雨にも関わらず予想を上回る参加者がすべてメイン会場の体育館に集まったことで、訓練、体験ブースをじっくりと見て回ることができたり、展示の担当者の話をより詳しく聞く事ができました。避難所の個別スペース確保のための自立式の間仕切りの展開の実演や、配慮が必要な方のための情報を書き出す作業などが参加者と一体で体験出来たことも今回の収穫ではないでしょうか。



 また、災害時要援護者支援事業(要避難支援者)事業の一環として配布している医療情報キットも実際に手に取れて、配布の趣旨を理解していただけた方にはその場で配布できたことも良かったと思います。また、毎回参加している聴覚障がいの方とも、手話通訳の方を通じて避難スペースやポータブルトイレなどについてのお話ができたことも貴重で嬉しい体験でした。



 近年は家族同様に、飼育しているペットの避難支援のニーズの高まりをうけて、市内獣医師会のご協力によりペット用避難グッズの展示や、個体識別用のマイクロチップの埋め込み(希望者には実際に注射を行いました)などが実演され、多くの参加者の注目を集めていたことも印象に残ります。





 ペット用にもトリアージタッグがあることを始めて知りました。混乱した現場で限られたいのちを救うための究極の選択は、人間同様ペットにも必要なのかも知れません。





 今回は雨の中、実際に雨天時メニューで初めて行った訓練ということで、戸惑うこともありましたが、実際に大災害が発生し多くの避難者が発生すれば、一時避難所である学校の体育館には多くの避難者が詰めかけるだろうし、恐らく今回の訓練会場のような混雑もあり得る、ということを実にリアルに体験出来た貴重な機会となりました。避難所開設の初動体制づくりの重要性を再び実感することができました。何人かの方とお話ししましたが、避難所のこのような混雑を体験することで避難生活の過酷さを想像していただき、避難せずに自宅に留まることがどれだけ大事なことか、市民ひとりひとりが自分で考えて備えることの大切さ、隣近所の助け合いについて考えていただくきっかけになればと思います。訓練の講評で、最後に市議会議長がお話ししていた「備えよ常に」ですね。災害は忘れる前に必ずやってきますよ。

2014年10月4日土曜日

議員はつらいよ


 小金井市議会9月定例会が昨晩終了しました。定例会終盤の9月17日に、突然市長より提案された市役所新庁舎建設計画の15年間凍結と、市役所第2庁舎の買取りの説明のために開催された全員協議会は紛糾し、第2庁舎買取りの補正予算を審議する予算特別委員会に入れぬまま、29日に議長が市長に対し、予算案の取り下げを進言し、翌30日に市長がこれを受け入れるという異例の事態になりました。この顛末の詳細は市議会リポートにありますのでご参照下さい。
 その後、本日終了予定だった決算特別委員会は、当初の日程内に終わらず継続審査となりました。議会が混迷し日程が大幅に変更されたという事情があるにしろ、一度は議会運営委員会で合意して決めた日程です。今回は決算審査を3日間で終えるための工夫として、議員ひとりの発言時間をおおよそ1時間。関連質問はしないことを申し合わせたのにです。これを守れずに決算審査が継続となってしまったことは非常に残念。審査が長引けば、それだけ部局の担当者を議会に拘束することになり業務は停滞します。議会は行政のチェック機関ですが程度問題です。毎度長時間議会で審議を行う小金井の市民満足度はどういったレベルなのでしょうか。決算審査では、職員の時間外勤務時間の削減を執拗に追求する議員が、議員個人のパフォーマンスのため(?)に、当初の予定を大幅に超過することはおかまいなし?
 まさか、そんなことはないとは思いますが。
 申し合わせた持ち時間を大幅に超過した会派は、ユーストリームを見れば一目瞭然です。興味のある方はご確認ください。http://www.ustream.tv/channel/koganeishigikai
 議会運営委員会での申し合わせは正式な確認事項ではないことが理由? この理屈もよくわかりません。後味の悪い結末となった定例会はこうして終わりました。 
 来週6日は、武蔵小金井駅南口第2地区再開発の市の補助金約15億円の妥当性を問う住民投票を求める条例審査のための臨時会開催です。今回継続となった決算特別委員会は、10月24日の開催が検討されています。こうして議会はどこまでも続き、部局も議員も長時間議会に縛られるのです。 

2014年9月7日日曜日

9月定例会の一般質問は


鈴木しげおの一般質問が終了しました。
質問と答弁の概要をご報告いたします。

Q1.子ども。子育て新制度施行にむけて、幼児教育に対する市の考えを問う

(1)制度変更が私立幼稚園に及ぼす影響について、調査とヒアリングは実施されているか

A.6月に幼稚園全園と、学務・保育・子育て支援課と懇談会行った。園ごとに新制度に移行するか、従前の私学助成か調査している。意向は全園から提出され、市の内部でも共有し個別の問い合わせにも対応している。
 新制度にむけ、不明な点が複数あるが、連携し対応する。所管は保育課になる。
(要望)幼稚園事業者や利用者、園児の募集に混乱ないよう、十分な説明をお願いする。
市が、小金井の幼児教育を今後どのように展開するのかという問題。ビジョンを事業者にお伝えしたうえで、あり方を事業者と検討すべき。

Q2.障がい者差別解消法の施行に向けた市の取り組みについて

A.地方公共団体は、法の趣旨に則り国の基本方針が示された後
自立支援協議会で協議する内容かも含め検討する。「障がいのある人内人がともに小金井で暮らしていくための条例」についても国、都、他市の動向を注視しながら研究する。
(要望)障がい者との共生には就労の確保が不可欠。そのためには、行政の全庁的に理解を進める取り組み進めてほしい。

Q3.小金井市でも防災基本条例の策定を検討しないか

A.東京区部で11区制定されているが、多摩地域の市町村では制定されていない。
条例の内容は、防災対策における行政、住民、事業者の責務と役割を明らかにし
自治体の基本理念が示されている。現時点では、地域防災計画を基本に、小金井の地域特性を踏まえて対応する。今後、条例の制定が必要となれば措置していくが、制定した自治体の調査しながら検討する。
 避難所運営のための自治会、町会を超えた学校ごとの検討については、今年になって南中や4小周辺の自治会、防災会で学校を中心として地域の市民と学校の児童・生徒や教員も参加する訓練が行われ、緑町地域でも実施したいとの声が出ている。
(市長)小金井でも、何が起こるかわからない。常に備えていかなければならない。防災基本条例制定については私も推移を見ていきたい。
(総括)今回の質問は、すべて国の動向に関連するものですが、それとは別に、それぞれの分野で小金井市ならではの考えとビジョンを持つべきと考えます。そしてそれらは、行政が市民とともに作り上げていくものではないでしょうか。こうした公民連携のあり方について、さらなる検討が必要と感じました。
鈴木しげおの質問の動画は以下のサイトにあります。
http://www.ustream.tv/recorded/52271821
9月4日の15:20〜17:14 の部分、鈴木は 01:00〜登壇していますのでこちらの方もチェックいただければと思います。

2014年9月2日火曜日

市議会が始まりました

 小金井市議会9月定例会が1日から始まりました。しかし市議会開会初日から、土地開発公社の評議会の対応をめぐり、議会が紛糾し空転していましたが、ようやく本日午後から正常化しました。
都市計画道路3・4・8号線(旧市立けやき保育園の東側道路)の土地買収の処理をめぐり、4人の議員が要求した緊急質問の扱いが争点でした。様々な調整の結果、緊急質問は取り下げとなり、この問題については今週中の本会議終了後に行う市長報告の時間の中で、土地開発公社での経緯について報告を行うことで決着しました。 さて、市議会定例会と言えば一般質問です。ワタクシの質問は9月4日(木)午後4時30分からとなりました。通告した質問項目は以下の内容です。
1.子ども・子育て新制度移行にむけて、幼児教育に対する市の考えを問う
・制度変更が私立幼稚園に及ぼす影響の調査とヒアリングは行われているか
・私立幼稚園の所管は学校教育部でいいか
2.障害者差別解消法の施行に向けた小金井市の取り組みについて
・検討は行うか、行うとするとどの期間が検討するのか
・地域での差別解消のために、障がいのある人・ない人がともに小金井で暮らしていくための条例を制定しないか
3.小金井市でも防災基本条例の制定を検討しないか
・行政視察を行った宮城県石巻市を参考に、小金井市でも市民とともに条例制定の取り組みを始めないか

の3点を通告しました。議会日程は平日なので、なかなか傍聴は難しいとは思いますが、ユーストリーム中継なども活用していただき、様子を覗いてみていただければと思います。

2014年8月27日水曜日

今日も一日頑張りました

 これまでとは違い、曇り時々雨の一日。午前中は事務作業と地元の課題を解消するための取り組み。午後2時からは市議会9月定例会前の議会運営委員会。その後は会派協議と続き、最後は学童保育連絡協議会主催の懇談会でした。
 学童保育所の運営は、来年4月から市内の学童保育所9か所のうち5所を民間委託する方針が示されています。また、来年4月からの子ども・子育て新制度への移行に関連し、自治体が制定する学童保育所設置条例が市議会の9月議会で審議されるにあたり、市議会議員と学保連の皆さんとの意見交換を行うために開催されました。
 当事者の皆さんとすると、運営形態の変更と、制度改正が一度に押し寄せてきているわけで、ふたつの大きな課題について、内部の情報と意識の共有にはかなり苦労をされている様子が伝わってきました。
 民間委託関連では、業務の質、引き継ぎの混乱。委託後のアフターフォローなどについての不安が大きいこと。制度変更についても、現在行われている小金井市のレベルを守れるかについての不安があることがよくわかりました。
 それと同時に、制度変更により障がい児枠が撤廃されることの良さと不安についても、学保連のなかで活発な議論と聞き取りが行われたということも理解できたことは、今回の大きな収穫でした。
 この問題では、制度について国の具体的提案の遅れが原因で、市民レベルで十分な議論ができないことが当初から問題として指摘されていました。
 これまで明確な国の基準がなかったため、自治体ごとに独自に運営されていたものが、新制度移行により一斉に基準設置する必要になり、各地で混乱が起きているということは言えると思います。ただ小金井市の場合、公設公営で行ってきた学童保育の利用者保護者の満足度が高かったため、委託後の業務の質を維持が最大の課題だと感じます。
 参加者から出た「委託してオシマイ、あとは丸投げでは困る。委託後のアフターフォローは市で責任を持って欲しい」との意見には同感です。また委託後の検証作業に利用者保護者が参加出来ないという現在の市の方針についても首を傾げる思いです。質の高い小金井市の学童保育と、全国標準的な設置基準との溝を、行政と市民である利用者が、どのような知恵で埋めていくのかが今後、この問題を考えていくうえでの大事なポイントになるのではと思いました。

2014年8月6日水曜日

行政視察報告 石巻市

                                 

 北上市から石巻市への移動は、在来線の東北線で小牛田まで、小牛田から石巻線で石巻へ。乗ってきたディーゼルカーはご覧の通り石ノ森章太郎作品ラッピング。「マンガッタンライナー」として休日に運行されるそうです。石巻市は「石巻マンガランド基本構想」を策定し、「萬画」を活かした街づくりに取り組んでいる。市内には様々な石ノ森章太郎作品のキャラクターをいたることろで見ることができました
  
石巻駅入口にあるサイボーグ003の足元には津波到達時の水深が示されています。ここが3・11当時、まぎれもなく津波に襲われた場所であることを示しています。
駅前にある市役所庁舎は、閉鎖した店舗を市が格安で買い取ったもの。震災後しばらくは周辺が冠水し、庁舎への出入りができない状況だったそうです。


 石巻市の視察テーマは「東日本大震災における被害状況と現状について」
・議会事務局次長あいさつ
震災復興基本計画のもとで復興中。合併後17万人の人口が現在15万人。少子化、高齢化と震災の影響が大きい。市街地の空洞化が課題。歩いて暮らせるコンパクトな街づくり目指している。市街地で新たな賑わいを創出するかわまちプロジェクトが進行中。石ノ森漫画館が復興しリニューアルオープンした。

【東日本大震災における被害状況と現状】

危機対策課長より説明。震災当時は消防職員として活動していた。現在は消防局からの出向。石巻市は北上川河口のまち。1市6町が合併した。人口減少率が県内一
震災前は水産物売り上げが全国3位の水揚げだった。

(震災当時の状況)

地震発生54分後に南部の門脇(かどのわき)地区に津波が到達。第3波が最も波高が高かった。震災前の津波ハザードマップをはるかに超える浸水区域。旧北上川を50キロ津波が逆流。チリ地震の経験で津波を軽く見て被害にあった高齢者が多い。家屋の被害は大半が津波被害。平成26年3月末現在の犠牲者は3,523人(人口の2.7%)、行方不明者438人(人口の0.3%)最大避難者数50,753人(人口の31.2%)最大避難所開設数259か所。


津波の痕跡は、街のいたるところに残されています。3年経った現在でも津波の威力の大きさを感じます。


町中を歩くとまだ津波被害による更地があります。生活再建の遅れ、人口流出が大きな課題です。
震災の影響により0.7〜1.2メートル地盤沈下した市街地に設置されたポンプからの排水。


復興事業


地域の安心・安全。
仮設住宅はコミュニティーが壊れているところがある。影響で自主防災組織を作れないところも多い。
・震災復興計画の策定。トータルで10年計画。・津波・高潮から地域を守るまちづくりの推進。
・復興公営住宅の整備 借り上げ型の公営住宅の入居はすでに始まっている。復旧・復興事業のピークは平成26年度だったが、入札不調で事業が遅れている。事業費も当初ぼ想定の約9倍。
・石巻市の市職員1,600人のうち49人が犠牲になった。現在も職員数が足らない。他の自治体からの応援と再任用で補完、応援職員数は300人。

震災後の新たな防災対策

浸水区域外の避難生活避難所と浸水区域内の緊急一時避難所に区分けした。震災当時は通信網が途絶したので、防災行政無線のデジタル化統合。衛生系通信手段。Jアラートの導入。防災無線の復旧とデジタル化。衛星携帯電話68カ所配備した。新しく、Wi-Fiスポット活用システムの「オレンジ」を整備した。

災害備蓄計画、防災基本条例

・備蓄食品の賞味期限を考慮し(5年間)4年サイクルで入れ替えする。
・津波避難タワーの整備。現在三基整備。津波避難ビルの指定。現在3カ所指定。三陸自動車道に避難階段を建設した。4カ所完了。
・あらたな防災対策として、災害に強いまちづくりを進めるための防災基本条例を制定した。自助、共助、公助。の理念を市民と共有することが目的。

(質疑応答・意見交換)

・議会の震災当時の対応は、避難所設営の協力をいただいた。震災当時議員の安否確認に時間がかかった。震災復興にあたり、国や県に対する陳情に市長とともに精力的に動いた。現在、議員は平成25年10月に策定した災害対応指針に基づいて行動する。
・トイレ対策は大きな課題だった。備蓄していたトイレ以外にも災害支援で協力団体が避難所に直接持ち込まれたものが多く内訳は把握できていない。生活習慣病の薬の問題は、
日赤の医療チームと市の保健師が地域を巡回した。半島部の交通途絶地域も苦労して巡回した。
災害復興公営住宅の現状について、当初は平成28年度までに4000戸整備する計画だったが、25年149戸。26年度実質1074戸の見通しで、計画に若干の遅れがある。公募型の民間住宅の借り上げも進めている。復興住宅希望者の登録について、自宅の再建か復興住宅入居かで悩む方が多い。希望者は4900人と多く、住宅が足らない。災害時の情報ツールとしてのコミュニティーFMの運営主体は当初は株式会社の運営。

・避難行動要支援者対策震災時の課題は、現在協議中。登録方法とレベルの検討中。大学のアドバイスもらうが難しい。震災時の避難困難者の救出は隣近所によるものが多かった。
個別支援計画作成中だが、苦労している。
避難所運営の住民参加の手法は、小中高校単位で運営を検討中。市立中は地元自治会にお願いし、県立高校は県と基本協定結んだ。運用について協議中。自治会と学校の付き合いのあるなしでカギの受け渡し方法に違いがあり、なかなか難しい。
行政機関のBCP震災後の変化について、とにかく情報がなかった。情報収集が極めて困難だった。道路も寸断。震災後数日間は、冠水のため庁舎から出ることができなかった。消防本部から県などに状況報告しても「壊滅」の意味が伝わらなかった。相手のイメージが湧かなかった。
入札震災復興住宅建設遅れは、建築資材が4割値上がりしたことが原因。
・子どもの心のケア、PTSD対策は影響を考慮し、教委でカウンセラーやSSW導入して対応。住民に対しては保健師が対応。カラコロステーション(駅前の拠点)でのケア、病院のドクターが対応。専門医につないでいる。
・備蓄品は、各家庭の備えもあったが、津波被害のため、1階にあった物はすべて流され、ほとんどダメになった。物にもよるが置き場所を考える必要がある。地域の特性に合わせたしまい方が重要。水を多めに備える。大災害時に3日で物資が届くか疑問。1週間くらいの備蓄は必要と思う。震災後は避難所の備蓄、簡易スロープ、ポータブルトイレを備蓄、整備するようになった。津波で2階に避難する時のために担架を準備するようになった。障がい者が必要な薬の配置、事前に協定を結んで配達してもらう工夫も必要だった。
・自主防災会の活動については、地震が多いところなので、沿岸部の住民は津波被害を先祖代々伝えているような熱心な地域はあるが、被害が少ない地域はそうではなく、地域により違いがある。防災会組織率は、震災後でも80%。合併前の市町によっては100%のところもあったが、市街地では組織率が低い。仮設に移転して、コミュニティーがバラバラになってしまった。
子どもの防災教育については、大川小学校の教訓から学校防災のワーキンググループ作り、学校防災マニュアル策定中。学年に合わせた防災教育の内容を検討中。釜石市の防災教育をお手本にしている。
・復興住宅のコミュニティーの現状、崩壊を防ぐ手だては、住宅申し込みの際に、複数世帯で申し込み可能にして、近所ごとに入居するよう、事前登録で入居者同士の顔合わせをしている。
・原発の影響、風評被害、漁業への影響。避難計画。女川原発の対応では、原発避難計画を今年中に作れと言われているが、15万人を移送する先もない。病院、介護施設の移動など、課題が多すぎる。PAZを優先して避難させる計画だが、牡鹿半島は道路が3本しかない。風向き、天候を考慮して優先地域の避難を考えるか、問題多い。風評被害は漁業が影響大きい。線量調査して出荷し不安の解消に苦労している。販路が一時期途絶えたために販路が復活しない、取引先が再開できない問題があると聞いている。女川原発周辺施設に福島からの避難者400人避難している。
災対本部の自動設置は指揮系統の明確化のため廃止した。市長、副市長の指揮権の整理が目的。
・活動本部の状況は、初期段階は情報がなく、夜になって現地入りした自衛隊から様子を聞いた。自分たちのまちの情報がなかった。自衛隊、県、電話回線は無線の1系統のみで、情報は少なく錯綜、混乱していた。地盤沈下の浸水の影響で動けなかった。食料調達が課題だった。情報がない中で現場で話し合って方針を決めていった。情報の真偽が不明。住民に顔を出すことを第1とした。
・ガレキ処理当初は分別できなかったが、段階をへて分別が進んだ。置き場は市有地。
ライフラインの復旧については、インフラ復旧に関する協定を周辺自治体と結んでいる。


歴史ある建造物として、市が保存を検討している店舗。建物の裏側にはやはり津波の痕跡があります。
石ノ森萬画館。川の中州にあるニューヨークのマンハッタンを模して「マンガッタン」なんだそうです。石巻マンガランド基本構想のシンボルとなる施設です。




市役所で行われた説明後、市のご好意により市内の被災状況を視察することができました。やはり海に近い南浜地区の被害が甚大です。写真奥が津波で流出したガレキ火災によって全焼した門脇小学校です。広大な更地は元はすべて住宅地だったところ。残った住宅も室内は津波による被害を受けています。この地域は今後、震災復興公園として整備される計画です。


被災地の復興シンボルとして有名な看板。敷地は元はコンビニエンスストアだったそう。隣にある柱は津波高さを表しています。


震災当日、多くの市民が避難した日和(ひより)山から萬画館がある旧北上川の中瀬地区を臨む。
日向山のふもとには寺院が多くあります。津波の被害は墓石にも及び、中には整理されないままの墓所も多くありました。

石巻駅には市内有数の事業所である日本製紙の石巻工場から出荷されるロール紙を積んだコンテナ貨物が。この工場も大きな津波被害を受け復旧しました。


【視察の感想】

1.通信手段の確保

 今回の震災では、北上市、石巻市ともに電話など通信回線の途絶による庁舎間の連絡、市民に対する情報提供ができなかったことを反省点のひとつとしています。また各関係機関や地域の自主防災会、自治会などの組織間の連絡手段が十分にできなかったことは、小金井市とは事情が異なるとはいえ、参考にすべきです。情報が途絶した場合でもそれぞれの組織の自主的判断で動ける体制を目指すべきです。


2.行政の各部署の自主的判断が必要

開設した災害対策本部も、各専門部が自主的な判断ができずに企画部総務班政策企画課に指示伺いをしたため業務が煩雑化して停滞したことを、小金井市でも教訓にすべきで、そのためには北上市でも行った災害対策本部の参集訓練を総合防災訓練時に行うなど、各部・課の役割分担と使命を明確にする必要があると感じます。北上市の場合は沿岸部に比べ、被害が軽徴だったために震災直後から沿岸部からの避難者を受け入れていたことも特徴的で、市内の旅館、ホテルを避難者のために借り上げて支援した経験にも学ぶべき点は多いと感じます。
 

3.市民の責務を明確に

大災害発生時には、市役所など行政機関も被災し、機能停止することを前提とし、自助、共助、公助の理念を防災、減災の柱として掲げ、市民自身の責務を明らかにした防災基本条例を制定した石巻市の取り組みは、小金井市でも参考にすべきです。
 

4.避難所運営の検討

避難所運営についても多くの気づきを与えた視察になりました。地域コミュニティーの形は地域によりの違いますが、小金井市でも地域の実情に合わせた避難所運営の検討が必要です。これまで小金井市では町会、自治会単位で防災組織を構成していますが、避難所運営を考えると、学校に隣接している町会、自治体が連合体となり学校を中心とした避難所運営を学校とともに協議すべきです。


5.総論

2市の視察を終えて感じることは、どちらの自治体も地域防災計画を策定し、事前の準備は怠りなく行っていました。しかし、想定をはるかにこえる規模の震災により想定外の対応の連続となったわけです。激甚災害であったため、その地の情報が入らずにいたことも混乱の一因だったことで、その情報は自衛隊や消防隊によりもたらされたという事実を受け止めなければなりません。被災地となった地域の市民は、水道、電気、ガスといったライフラインの途絶への備えだけでなく、情報過疎に対しても備えを持つべきであることがわかります。備蓄食料は3日分ではなく、最低1週間は必要。避難所に避難せずに、自宅で復旧を待てる備えが必要なことを考える視察となりました。



生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

昨日の午前中は、公民館貫井北町分館で「コロナ禍を経験して考える 人と地域がつながる共生社会」講座でした。 7 月 23 日まで 6 回連続で様々な生きづらさを抱える当事者のお話しを聞く男女共同参画講座 の第 1 回目で、講師はこれまで 3 期にわたり小金井市地域自立支援協議会...