2015年6月7日日曜日

通級指導学級が廃止?(一般質問報告)


鈴木しげおの一般質問が終わりました。通告した質問は2項目です。
1.計画的行政の視点から、福祉会館も含め、公共施設の最適な配置について検討しないか
◯今、市では老朽化が進み、耐震性に問題ある福祉会館の建替が大きな議論になっていますが、この問題については11日に開催の連合審査会前ということで、今回は直接福祉会館問題には触れませんでした。しかし、小金井ではその他にも市役所新庁舎や図書館、公共施設では大きな比率を占める学校施設などの維持管理と最適な配置が課題です。市では平成23年4月に策定した「施設白書」で公共施設の維持には今後40年間で970.2億円、年平均で24.3億円必要とされています。しかし白書を策定した後の具体的取り組みが行われていないことは問題で、そうした中で今回の福祉会館問題が出てきてしまったと考えています。なぜ小金井市では計画的行政経営ができないのか。施設の担当部署に限らずに全庁的な総合調整がなぜできないのかという視点での1問目です。
(鈴木)施設白書と公共施設等総合管理計画の違いは何か?

(企画財政部長)施設白書は公共施設の持つ課題を「見える化・共有化」したもの。施設を維持できるか否かを示したものではなく、コスト、財源の観点から公共施設のあり方を議論するための基礎資料としたもの。国からの要請に基づき今年度小金井市でも策定される「公共施設等総合管理計画」は施設の全体を把握し、更新・統廃合・超寿命化などを計画的に行うことで財政負担を平準化し、老朽化対策を進めるために策定するもの。

(市長)他と比べた場合、小金井は公共施設が十分ではない状況もあるが、施設の統廃合含めた検討は必要。検討は総合的には全庁で進める。そのための担当組織も必要になる。企画財政か理事者かは別として、上から組織を全体的に見ていく必要が出てくる。必要があれば全体を見ながら必要な対応はしていく。全体が決まらないから何もやらないということにはならない。場合によっては統廃合の検討も必要になる。ご指摘の通り遅れがでていることは事実で、きっちりと対応していかなければならないと考えている。

(鈴木)市民一人当たりの公共施設の面積はさほど多くない小金井市だが、公共施設を増やせなかったことも、現在なかなか対応できないことも、その原因は財政問題。今後の施設改修や更新のあり方はとても重要。将来の市民にとって、小金井の魅力を大きく損なう負の遺産とならないよう早急に具体策を講じ、策定に向け努力するよう要望する。
2.「明日の小金井教育プラン」の今後について
◯市教委が策定したプランは、今年が最終計画年度。私がテーマとしている特別支援教育分野では、これまでの私の提案や要望が反映され、全体的には充実してきましたが、同時に対象となる児童・生徒の数も増加し、対応が後手に回る場面も見受けられます。また東京都が来年度から通級指導学級を廃止して特別支援教室を小学校各校に設置すると決定したことも気になります。東京都の動向は、市の新たなプランにどのように反映されるのか影響が気がかりです。また市内の対象児童と保護者のヒアリングはどうするのか。市教委の見解を問いました。
(鈴木)現計画が特別な支援や配慮が必要なこどもたちにもたらしたものは何か。現計画の総括について、市の見解は?

(学校教育部長)教委ではプランに沿い特別支援教室の確保、特別支援学級の増設、特別支援教育支援員の配置の3点を重点施策として拡充に取り組んできた。その結果、組織的体制の構築により、全ての学校で特別支援教育の充実が図れたこと。新たに3箇所の特別支援学級が開設できたことで、重層的な支援体制が構築できたこと。特別支援教育支援員、特別支援学習指導員による児童・生徒への支援の充実が図れた。それにより通常学級の担任の特別支援教育に対する理解が深まり、普通学級での指導に反映することができた。さらに、教員と特別支援教育支援員、特別支援学習指導員との効果的連携が進み、日常生活の介助や学習活動上のサポートなどの充実を図れた。これらの取り組みにより通常学級や特別支援学級に在籍する児童・生徒ひとりひとりに対応した支援・指導の充実に努めることができた。


(鈴木)今回の成果などの総括を元に、今後の新たな計画策定に向けた担当の見解は?

(学校教育部長)これからの計画の推進にあたっては、障がい者差別解消法の施行に向けた児童・生徒への合理的配慮の提供や都が平成30年に都内全小学校で完全実施する特別支援教室の円滑な導入に向けた研究が必要と考えている。小金井に適した計画が求められていると考えている。教委としてはこれまでの成果や課題を参考に、年間を通じて開催される特別支援学級設置校長会や特別支援学級の担任が集まる特別支援学級推進委員会、市内全校の特別支援コーディネーターが集まる特別支援教育研修会の中で研究を進めていく予定。新たなプランは市の研究内容と国や都の動向を踏まえ、特別支援教育の充実に向けた新たな教育プランを策定していく。

(鈴木)都が平成30年度までになくしていく通級指導学級と、特別支援教室の違いは何か。小金井市でも例外なく通級指導学級をなくしていく方向なのか。

(指導室長補佐)通級指導学級は、通常学級の学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童・生徒に対し特別な場所(通級指導学級)で行う教室。今回東京都が進める特別支援教室は、特別な指導を、在籍している学校で行うことを前提としたもの。通級学級対象児童生徒は教育課程を提出するが、特別支援教室に変更されても指導内容は児童生徒に合わせた教育内容は児童・生徒に合わせた教育課程に準じて行われるため、指導を行う場所が変わっても内容は変わらないと考えている。

(鈴木)特別支援教室に移行すれば、児童生徒が在籍校から設置校に通う負担は軽減されるが、通級指導学級で行われている小集団の指導と、巡回指導の拠点校としての機能が失われる。この問題を小金井はどう考えるのか。

(指導室長補佐)まだ研究段階ではっきりとは答えられないが、都が先行して3年間行ったモデル事業では小集団での学習が難しくなる課題も出ている。モデル事業では、そうした児童は設けた拠点校で小集団を形成して学習した事例も報告されている。小金井では特別支援教育に関わる3つの部会で小集団の指導のあり方を研究していきたい。

(鈴木)制度の変更により、子どもひとりに対する指導内容は変わらないようにすべき。また小金井市の場合、通級指導学級は巡回指導の拠点となっていないはず。児童発達支援センターきらりで行われている巡回相談の課題が、小学校ときらりとの連携ができていないこと。巡回相談の考え方をこの機会に整理すべき。「学級」が「教室」になると教員の配置が減るのではないか心配している。子どもひとりが受けられる支援の内容が減るのではないか。

(指導室長補佐)現在は研究段階で明確に答弁できないところもある。巡回指導についてモデル地区の成果として、送迎の負担がなくなったという声は全ての地区で聞かれた。在籍する児童の時間割に合わせた柔軟に指導時間が設定できること、巡回指導チームと在籍校の担任の意見交換、情報交換が綿密にでき指導内容の改善に役立っていることが報告されている。小金井市としてもこのような成果と課題を研究をしていきたい。教員の配置は都の基準による配置なので、小金井市としては都の動向に沿った教員の配置と指導を行っていきたい。教員配置の増減については、現在東京都も試案の段階で、現時点では明確には答弁できない。
(鈴木)平成30年度までに通級指導学級を廃止する東京都の方針について、当事者である子ども達や保護者の説明と意見聴取はどこで行うのか。また子どもの発達を支えるため、地域連携の核となる施設として作ったきらりとの連携事業である巡回相談、通級指導学級で行う巡回相談の運用について、教委はこの2点についてどう考えていくのか。

(指導室長補佐)児童・生徒、保護者の意見聴取については、現在行っている導入に向けた取り組みの中で研究していきたい。きらりとの連携については、昨年からきらりの職員が巡回相談の同行を始め、特別支援研修会できらりの説明を行うことや特別支援学級の教員によるきらりの見学を行ったり、保護者の要請に基づき学校での専門相談にきらりの職員が入るなどしている。今後特別支援教室導入に向けてもきらりと連携して円滑な導入に向けた研究を進めていきたい。

(鈴木)都の制度が固まらない中で、保護者や児童・生徒に対する説明に限界があることは理解するが、現状の運用についての意見を求めることはできるはずだが、小金井市ではこれができていない。子どもの連続した支援のために、さくらシートも活用し、きらりがある小金井市でなければできない支援があるはず。特別支援教室設置に向けては保護者や当事者である児童・生徒の声を聞いていただくよう要望し質問を終わる。
《質問後の所感》
◯公共施設の再配置問題は、個々の施策を展開する中で、もう一段階上からの視点を欠いてきたために計画的な行政運営の視点を持てずに来た小金井市の負の遺産として問題視されているものです。施設の耐震化工事は福祉会館を除けばほぼ完了した小金井市ですが、学校施設の老朽化は待ってくれません。小金井市最古の校舎は昭和35年。今後は次々に施設の耐用年数を迎えるのです。施設の最適な配置の検討を進め早く対応を講じる必要があるのです。
◯明日の小金井教育プランの総括と新たな計画策定についてでは、小金井市の地域性に基づいた独自なプランが必要と思います。特に特別支援教育分野の対応は、多様化する子どもたちの特性を視野に入れた取り組みが必要です。東京都は平成30年度までに小学校通級指導学級を全廃し、各校の特別支援教室で指導を行う方針を明らかにしています。こうした制度変更には通級指導学級の対象児童・生徒数の増加といった背景がありますが、適切な支援を適切な時期に行えば、その効果で対象児童の支援量は減らせることがわかっています。新たな計画策定にあたっては、制度について保護者や児童・生徒への充分な説明とメリット、デメリットの検証が欠かせません。現計画は当時第1中学校長だった山本修司教育長も委員として参加して策定したものです。新たな計画策定にはこのような小金井の声に耳を傾け、当事者の不安を解消し、小金井ならではの計画を策定していくべきと感じました。


生きづらさを救う居場所とは (発達障がい者当事者青年Rさんのお話を聴いて)

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